第04話 死神プロファイリング

「君に会いに来た理由が分かるかい?」

 俺は問いかけるが面会の第一声を言った切り、大神真琴死刑囚の反応は全くない。

「それじゃあ、おいとまするよ。昨今さっこん、色々と案件が立て込んでいるから…」

そう言うと俺は、たった数分で面会室を後にしようとした。すると、大神死刑囚が一言つぶやいた。

「助言してやる。今度の事件、アンタには解決できない」

 俺は咄嗟に大神死刑囚へ聞き返した。

「どうして、そう言い切れる?」

「今回の事件は“オママゴト”じゃないから」

「君が初審裁判の第一声で言ってた内容だね。確か…」

 俺が言いかけた途端、大神死刑囚が答えた。

「"家族はオモチャでしかなかった"」

「そう、それ。」

「"自分の身内を殺すより、赤の他人を殺す方がバレるリスクが高いから"」

「それじゃあ、今回は遊びショウドウじゃない人殺しって事なのか?」

「今回の犯人は私の分身だと思った方がいいよ」

「君の分身?」

「ただし、私自身の亜種‥」

「つまり…」

「亜車刑事には分かるでしょ。私が一人ジャナイってことが‥あはは」

「貴重なプロファイリングをありがとう。それじゃあ、これで俺は帰るよ」


「あははははははははははははははははは」

 大神死刑囚の高笑いが、拘置所塔内に叫び響いていた。

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