物語を牽引するのは、色彩豊かな情景描写。そのなかで妖しげに振る舞う店のモノたちと、眩惑する主人公。古風なテイストに仕上がった、玄人志向の幻想怪奇譚です!コワ面白い!
不思議な世界に一歩足を踏み込んでみる、このゾクゾク感に背中を押されるように読み進めました。入り口の招き猫を横目に入れて、ゆっくりとその先へ。丁寧に綴られた情景描写が視覚や聴覚、臭覚などの五感を刺激し、ミステリーとホラーの濃度を強めていきます。なにが起こるのか、待ち受けるのか。この背筋をゾクッとさせられる感覚が好きな方にはぜひ、集中して読んでいただければと思います。
怪しげな雰囲気漂う赤煉瓦の町、見切り町。紅玉一丁目。僕はその町にある、とある店で宿をとる。その店の入り口では、大きな招き猫が大口をあけて僕を見ていた。中に進めば進むほど、あやしげな雰囲気に満たされる。後戻りしようと思っても、もう遅い。最後に、僕が見たものは……。
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