~控室~
負けて控室に戻った五郎だが、まだ、震えは治まってはいない
元々、経験から見ても、(初戦で負けている五郎よりも、遥かに、日渡あたるのほうが、対戦歴が多い)勝敗は決まっているのと同然で、力の差と戦いの器量の違いを見せつけられた形となったのだ。それに何よりもメンタルの弱さが浮き彫りになってしまった。
相手の空気に押され、自分が委縮してしまった結果がこれだ。
自分の器量が最弱だとは分かっていたが、流石にここまでコテンパンにやられるといつまでも立ち直れない。
「・・・」
悶絶のように青い顔をして俯き額に手を当てて、はたから見たら吐きそうに見えた。
俺みたいない奴に、あんなに威圧しなくても―
そして、耐えきれない思いを吐露した。
「う~ん―いきなり“日渡あたる”はきついぜ!!」
嘆くよう本当に吐いてしまうにように絞り出した。
叫んだ瞬間、それをすぐ言い消す奴が近くにいた。
「お前のそれ(・・)よりも~っと、ひどい目にあわされた奴がいるぞ。」
その声に聞き覚えがあった。
ゆっくり顔を上げると、梅夫の真顔があった。
「~~~何だよ?」
五郎はそんなこと言われて少し腹が立ってそっちを見たら、顔が近くにあって、少し、迷惑だなと思って言いさした、が・・・
梅夫は、真剣で深刻そうな顔をしていた。
「ちょっと―、顔貸してくれ」
そういうと、無理やり五郎を引っ張り上げて、どこかに連れて行った。
大男でがっちり筋肉質の五郎より梅夫のほうが痩せ型で、五郎よりは身長は低いが平均の男性レベル。体重差で考えたら明らかに、五郎を引っ張っていくほうが、体力を使うはずなのに、それを顔色一つ変えずにやってのけるのは、凄いことだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます