二話~試合~ 02
さっきから大会とか選手とか言っているが、説明しよう。
大会の名前は、コードマスターチャンピオンシップ
競技種目 格闘ゲームスポーツ。
コンピュータのネット上の技術大会の中で、上位1000名だけが参加できる、季節ごとに行われる大きな大会なのだ。
彼らは、ウエイクテクノロジー(究極の砦の万能技術)を構築することができ、それを駆使したいろんな形でプログラムされた格闘系デバイスたちを競わせるのだ。
試合形式は、一対一の対決勝負で、円状に取り囲む客席やドームの中心に描かれた、白い境界線で仕切られた長方形の枠の中で行わる。
その枠をコートと呼ぶ。
まず、試合をする選手が入場すると、長方形に仕切られたコートの自分側と相手側の場所に、縦3メートルほど、上下だけを区切った場所があり、そこに選手が待機、そこでデバイスの操作を行うことがルール上義務付けられている。
区切られている場所を選手スペースと呼び。
選手は、ペースの境界線からは出てはいけない。
選手への直接の攻撃は禁止とされ。
その区切られたスペースの右斜め前に、
直径が8~9メートルほどある大きな円盤型の黒い転送装置があり、選手はウェラブルコンピュータからコントロールグローブにデータを転送してからその装置にデバイスの情報を送信して、実体化させるのだ。
あらかじめ、コントロールグローブにデータを転送しておけばいいのにと思うだろうが
、これは大会規則できちんとした工程を踏んで創造したものかを判断するために必要なことらしい。
そして、転送し実体化させたデバイスを敷き詰められた電子スクリーン上で競わせるのだ。
デバイスはデータの塊だが、感情を持ち、自分自身を創った創造主(ぬし)たちの気持ちも理解する。
大きさや装備とかに規定は特にないが、だいたい人よりも何十倍も大きく作られ、必至条件は必ずウエイクテクノロジーのコンピュータプログラムで構成されていること、その条件が満たされていれば、パンチ、蹴り技だろうが、武器を持った攻撃だろうが、なんでもいい。
攻撃は食らえば食らった分だけ自分のポイントが減り相手に加算される仕組みになっている。
逆に攻撃があたれば、自分のポイントになる。
マイナス点がない選手で、試合期間中に使用ポイントがなくなった場合は、試合期間終了後にネットの予選会のデジタルトーナメントに参加したときに、上位1000位以内に入れば、復活する。
持ち点は、一人200から4000ポイント。この保有ポイントは、上位者になるにつれて高いため、攻撃を食らった減点ポイントもその分大きい。例えば、1ポイントの攻撃力の選手が一つランクの上の選手と対峙して攻撃を食らったとき、1ポイント奪われる。1:3の比率で割り当てられ、上になるにつれてその1:3の割り当てが、二倍され大きくなる。この比率は動かないので、1:6なんていう理不尽な対戦も平気である。
よわ、上位者だとより有利になって、それ以下だと、より不利になるかもしくはただの不利になるかという条件だ。しかも、相手に決定的なダメージを与えて倒さなくてはいけないため。ポイント所有のポイントが足りなくなると、マイナスされていく。そうなると順位成績にも響き、マイナス点が多ければ多いほど、実戦の経験値が多く勝っていても、順位が低くなり、次の対戦の出場資格の条件も変わってしまうという仕組みになっていた。
(一本取り)、K.O.負けは、即試合終了。
デバイスたちの制御は、両手にはめた(手袋) コントロールグローブで操作する
キーボードの打ち込みと違って、体を動かすのでかなりハードだ。
選手のことを正式名所で言うと、コードファイターという。
そして、その頂点を極めたものが手にするのがコードマスターの称号だ。
ウエイクテクノロジーは究極の砦の万能技術と呼ばれている。少子高齢化のためこの国が破たんしかかった時。政府はもはやガラパゴスと揶揄された技術を極めるしか道はなかった。
たくさんの研究者や学者の知恵によって生れた、人を超えた技術。もはや人外(じんがい)の技術。
その特殊なテクノロジーから、生まれたプログラムはそのテクノロジーの能力者、個人個人でプログラムの構成が異なっているため、それぞれの独創性があり、十人十色。よわ、一つとして同じものがないというのが特徴。一つ一つでも十分の優秀さを発揮するが・・・。
本来、別のプログラム同士を繋ぎ合せることは難しく、無理にでも別のもの同士を繋げると、プログラム同士でぶつかり合い。誤作動の原因になるだが、ウエイクテクノロジーから生まれたプログラムは、別のプログラム同士を繋げることによってより強くなり、強固になるという適応性がある。
その全貌が殆ど謎で、未だに解明されていない技術を持ち合せているのだ。
それを読み解くのも、それを構成できるものウエイクテクノロジーと称された技術の能力に目覚めたもの、その技術を学んで、それなりの力を発揮した人でなくては、それをひも解くことも、構成することもできない。
その技術の才能をもつ者たちの事を、{Those who awake.} 覚醒者の意味を縮めて、ウェイカーと呼んでいた。
あまりいい意味に取れないが、そう一般では呼ばれ、少し異質なものに思われていた。
そのウエイクテクノロジーは、そのあまりに特殊で万能なものなので、法律で規制を敷かれ、絶対的な拘束に従い、公開、提供の義務がある。
おもに、ウエイクテクノロジーは、すべての技術において適応可能だが、大体は、プログラムを必要とする機械全般やコンピュータ類、防衛技術の分野で使われたりする。
そのテクノロジーで作ったデータを他の技術に組み込んだり、また新しく製品として構成したり、いろんな組み合わせでプログラムを組めば、著しく他よりも優れより発展したものを作り出すことができるのだ。
それに彼らの常識外れた想像力が一番の要因で、なんでも、能力に目覚めると、感性と考え方が変わるらしく、常に発想をアートのように組み立て、発展させながら、頭の中でシミュレーションを繰り返し、キーボードを手にするときは、もうそれは一つのものになっていて、出来あがっているのだとか・・・
色々なうまみがある技術だからなのか、はたまた、ねじれ外れた人材がほしいのか、その両方なのか、分からないが、各企業がその入手に執念を燃やしたり、各団体やウエイクテクノロジーの開発に参加していなかった研究者とかが、その技術の解明を目標にしたりと、世界中の注目を集め、このコードマスターチャンピオンシップも最初はコアな集いのコンピュータ上でのゲーム遊びだったが、今や世界大会のようなものになっている。
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