概要
夏の夕暮れの憂鬱に。古都の一夜の悪夢をどうぞ。
俺は「よしだかねよし」。漢字で「吉田兼好」と綴る自分の名前が結構煩わしい。
京都の大学で3回生を迎えたが、鍋底の土地で過ごす夏は常軌を逸して暑い。
図書館の空調は工事中、自宅の扇風機は壊れ、俺はふらりと外へ出た。
古都のはずれの喧騒の中をぼんやりとうろつく俺。
その背後をとことこついてくる小さな黒犬。
突然、少女の声が俺の目を覚ました。
「振り向いちゃダメ!」
その時から、幼い少女を連れた俺の、薄暮の古都の逃避行が始まった。
京都の大学で3回生を迎えたが、鍋底の土地で過ごす夏は常軌を逸して暑い。
図書館の空調は工事中、自宅の扇風機は壊れ、俺はふらりと外へ出た。
古都のはずれの喧騒の中をぼんやりとうろつく俺。
その背後をとことこついてくる小さな黒犬。
突然、少女の声が俺の目を覚ました。
「振り向いちゃダメ!」
その時から、幼い少女を連れた俺の、薄暮の古都の逃避行が始まった。