桜に彩られた朧気な景色はコーヒーの香りと交わって

物語の主人公は2人の男の子たち。
それぞれに順風満帆とは真逆と言える生い立ちが背景にあり、お互いに支え合う関係だったことが物語を読み進めるうちに判明していきます。



ただ、一緒にいるだけでいい。


必要な時に、同じ時間を過ごすだけでいい。


一見正反対に見える2人ですが、本音の部分を伝えるのが苦手な点では案外似た者同士で。


親友と表現するより、心友の方がしっくりくるのかなと感じます。


男同士の友情って、こんな風に不器用だけれど、後になって振り返ると大切なもので。

決して長い物語ではないのですが、二度も涙腺を緩めてしまいました。

2人の環境の変化や心境の移ろいを一人称で描かれており、
文章が素敵な詩のように綴られている事も相まって、主人公の想いが自然と心に染み入ります。

2人の少年は辛い過去を受け止め、しっかりとそれぞれが進むべく未来を見据えて、成長していきます。
気付かずとも、支え合って来たからこそ、選べたその選択肢に。



筆者様の作品はまだ少ししか拝読していないのですが、異世界ファンタジーや容姿端麗がテンプレの如くありふれているこのweb小説界にあって、
それらの要素など微塵もなくても、物語の世界観にしっかりと浸らせてくれる貴重な作品に出逢えた事をとても嬉しく思います。


素晴らしいお話を描いて頂きありがとうございました。

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