作者 新樫 樹

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★★★ Excellent!!!

作品に描かれる境遇が自分事のように感じられる読者は少ないと思います。
ただ、主人公と同じ境遇が身近にあるのも現代としては珍しくもないのが今の日本社会です。

DNA上の親、育ての親、いずれも親として世間的には表記できる法的な書類はあるのでしょう。

しかし、子にとっての親というのは何もかもを抜きにして、言葉や書面云々ではないことを考えさせられます。

親という字は親しいという意味を成す一文字の漢字で書きます。

つまり、子にとってもっとも身近に感じる存在であり、混じりっけなしに親しい関係であるには、その子にとって只々愛情を注げる大人であると表現出来ます。

非常に複雑で哲学的にも感じますが、彼のお父さんが彼に話したセリフが、親としての愛情を物語っているように感じました。
逆にこの手の母親の方は子を所有物か何かと勘違いしているように思えます。


さて、新樫様の作品は、なぜだか父親という立場にいる人たちにこそ読んで欲しいものが沢山ありますね。

レビューとは矛盾するかもしれませんが、本作も何も考えずにただ我が子を思い浮かべながら読んで頂ければと思います。

途中から画面が見えづらくなったなら、貴方にもきっと親としての愛情がしっかりと根を張っていて、いつかそれが芽吹く未来があると語っているように感じました。

貴方のその『手』は、この先は何の為に使うか、何を得るのか、何を捨てるのか。

その選択肢の先が後悔のない未来であるように私たちは悩みながら今を生きるのでしょうね。

★★★ Excellent!!!

 主人公が『手』にこだわる理由、それを乗り越える為の人知れぬ努力。それはそのまま家族と培った歴史の裏返しでもあった。
 息子を案じつつも自分の辛い体験から自分の気持ちが先に立つ母親が電話で喚く演出は本作の現実味を盛り上げると同時に主人公の抱くやるせなさを間接的に浮き彫りにしている。
 二人の親の間で揺れる主人公、その決断とは。
 蛇足ながら、作者はかなりのコーヒー通とみた。

★★★ Excellent!!!

あなたの手はどんな手でしょうか。

水洗いが多く、ちょっとカサカサした手でしょうか。それとも、爪の間にオイルが染み込んだ機械いじりが得意な手。PCマウスを沢山使うと親指の外側に、皺が出来てまった手。バットや竹刀を振った手。

手には色んな人生と想い出が、刻まれていると思います。

本作は「手」通じて、家族の絆や考え方を教えて頂きました。
その手に宿る気持ちを是非、堪能して欲しい。

必読推奨の物語です。