香り高いお話。

 主人公が『手』にこだわる理由、それを乗り越える為の人知れぬ努力。それはそのまま家族と培った歴史の裏返しでもあった。
 息子を案じつつも自分の辛い体験から自分の気持ちが先に立つ母親が電話で喚く演出は本作の現実味を盛り上げると同時に主人公の抱くやるせなさを間接的に浮き彫りにしている。
 二人の親の間で揺れる主人公、その決断とは。
 蛇足ながら、作者はかなりのコーヒー通とみた。

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