永遠
今日も、星は小さく瞬いていた。
思い出すことも尽きた。それでも、いつものように過去を振り返るぐらいしか、することがない。
幼い頃は、優等生だった。いつも成績は学年一位、一番有名な大学に行った。
でも、そこでは普通の人だった。天才たちの内では、平凡な天才だと思い知らされた。そして初めて、運動もできないし、ルックスもよくないことを意識した。僕は、とんだ勘違い野郎だった。
それでも自分がすごいんだということを知らせたくて、企業を作った。すぐにこけた。借金だけが残った。
「応答求む、応答求む」
「はい、今日も順調。星は小さいです」
一体何日前のものになるか分からない通信に答え、回想を再開する。
大学を辞め、借金返済のためにあくせく働いていたが、とてもじゃないがどうにもならなかった。だから僕は、当時募集していた「宇宙飛行士」に迷わず応募した。
審査は簡単に通った。応募者の中で最も高学歴で、最も借金が多かったからだ。
家族や友人が泣いたかどうかは分からない。でも僕には関係なかった。僕は、行き先不明の宇宙船の、ただひとりの乗組員になった。
毎日、定期的に報告するのが主な仕事。いつか、新しい星にたどり着いたら、万々歳だ。そのときはできるだけその星の情報を収集して、何とかして自分の星に帰るのが仕事だ。
何とかできるものか。
さいしょっから、この船で死ぬことが僕の仕事だ。
「オウトウモトムオウトウモトム」
しかし、僕の耳に聞きなれない通信が入ってきた。断る理由はない。
「はい、なんでしょうか」
「オマエモツミビトカ、ガンバレヨ」
通信は、ぶつりと切れた。
どこの星でも、宇宙飛行士は暇人なのだろうか。
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