代行と本職

「なんであんなことをしたんだ」

「……仕事がなくなったんだよ」

「殺人の理由になるのか?」

「俺は人のためになる仕事をしてんだ! いくつもの論文の代行をして、卒業や修了、博士をとって大学の常勤になった奴だっている! それなのに最近ときたら、みんなAIに頼りやがって……。ついには俺が代行してやった奴が論文執筆AIの開発してやがったんだ!」

「逆恨みだな。お前がお客を助けてたんじゃない。お客がお前に仕事を頼んで、助けてたんだ。お前には論文を書けるという実力がある。それを生かせば、人生をやり直すことができるかもしれんな」

「ウッウッ……」

 AI警察の口調は優しかった。オンライン取り調べは続く。

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