過去は、消せない

まず初めに、僕はレビューを貰ったからレビューを返すというタイプの人間ではないことを断っておきます。レビューから本作品を見つけ、興味深い作品だと思ったので、レビューさせて頂きます。

前々から、いわゆる「悪人」はどうして自分を客観視出来ないのだろうと疑問に思っていました。女子高生をリンチして殺してコンクリート詰めにして棄てた男たちに『北斗の拳』を読ませ、一番好きなキャラクターを聞いたとして「俺は罪のない一般人を虐殺して回るモヒカンが一番好きだな」と言うとは思えない。彼らだってケンシロウやトキやラオウが好きなはずだ。でもやっていることはモヒカン。その矛盾はどうして起こるのだろうと考えていました。(『北斗の拳』が分からなかったらごめんなさい)

その答えを、自分を客観視することで自分の醜さに気づいてしまい、フラストレーションを爆発させた主人公に見た気がします。

仮に自らを客観視し、自らの醜さに気づけたとしても、それは即ち過去の自分の否定に繋がる。今まで積み重ねてきた己を唾棄すべきものと認めることになる。それがイヤだから目を瞑らざるを得ない。昔の俺はおかしかったんだ、本当の俺はこんな醜い奴らとは違うんだと神に主張するように暴走する主人公を見て、そういうことなのかなと何となく感じました。

ギャルも薄々、自分を鏡で見たらどう映るか勘付いていたのかもしれない。だけどそれを認めるわけにはいかないから、己の醜さを肯定し続けていたのかもしれない。
深読みしすぎかもしれませんが、そう考えると少し切なくなります。

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