思春期の激情を克明に書き込んだ秀作

周りに迎合して、うまく処世する男子。
周りに辟易して、独りを貫く女子。

アイデンティティの確立とモラトリアムという、思春期らしい葛藤がありありと記されていて、圧倒されました。

(以下、内容に触れています。未読の方はご注意下さい)

孤独な女子は、辛辣ないじめにも遭いますが、そんな彼女を見かねて決起する男子の姿は必見です。
ブチ切れた彼が、いじめの主犯たるギャル子をめったうちに叩きのめし、暴力の限りを尽くします。
感情の爆発と達成感、一抹の後ろめたさ、カタルシスとカタストロフ、英雄視と白眼視、あらゆるものが対比されつつも一気に押し寄せる山場です。
いじめネタなんて掃いて捨てるほどありますが、見せ方が頭一つ抜けていると思いました。

その他のおすすめレビュー

織田崇滉さんの他のおすすめレビュー415