礼儀を知る者は最強の証

(アラン『幸福論』)
礼儀作法とは、身についた物腰であり、ゆとりである。無作法な人間とは、まるで皿や置物をひっかけでもするみたいに、自分のしたいと思っていることとは別のことをしてしまう人のことである。



マナー教室を開くのが夢という若き女性が、礼儀作法のアレコレを駆使して日常生活の謎を解明する……という一風変わったミステリー。

昨今の日常の謎・お仕事ミステリーブームは読書家ならば誰もが知るところですが、どの作家も特徴を出すために、さまざまな「珍しい職業」を題材にしています。

その職業にちなんだ、そのお仕事ならではの独創性あふれる謎を提示することで、読者は勉強にもなるし、新鮮な謎解きにも関心を持てるわけですね。

マナー教室によるしつけ作法を謎解きにからめる、というのは斬新だと思いました。
プロ作品ではほとんど見かけません。この職業に焦点を当てたのは新発見です。

ちょっとした挨拶の会釈にも作法があるのはもちろん、ワインの飲み方にまで話を広げて犯人を暴く……というショートエピソードには感心しました。
日常の謎だから大々的な殺陣などは起きませんが、読むとためになるし、今まで気にしていなかった日常のささやかな閃き・気付きにもなりました。オススメです。

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