冒頭から主人公の父が自殺!と分かる
「どうして?なぜ?原因は?」と状況のつかめない活字苦手な私は?でスタート!
私にとって聴き慣れない難しい言葉があるが、主人公と父そしてKEELの関係にわくわくした
主人公とKEELの会話を頭の中でぼんやりと映像化して読んでる自分がいる
ひゃ~!
どうして主人公の父が自殺したのかが書かれたのを目にした時・・・
困惑した!
後ちょっとで読み終わるのに、それすら出来ないほどの衝撃だった
「親ばか」ってよくいうけど、まさに「超親ばか」でこういう愛の形もあるのかと自分の心が落ち着いたとこで残りの後ちょっとを読破した
短編だけど心に深く残る小説だった
見どころとしては主人公がAIと対話するシーンです。
このシーンは過去の状況や、通して語られる「フォン・ノイマンの呪縛」と言った語句の追及なのですが、踏み込んではいけない領域に足を踏み入れてしまっているのではないか? もし一瞬でも気を抜いたら取り返しのつかないことになってしまうのではないか? と言った恐れがムクムクと喉元まで出かけてブラウザを閉じたくなるような気分になってくるのですが、それでも読みたい! 先を知りたい! と言う好奇心に抗えない自分と言う物を発見しました。中盤からの畳みかけは素晴らしいものがあります。
この発想は衝撃的です。
人工知能やビッグデータで人も社会も便利で安心という、幸せいっぱいバラ色の側面だけを夢見ていた自分に反省です。
技術革新は人間の向上も求める、と分かっているつもりでしたが、なにしろ今度の技術は人間とは桁違いに優れた『超人』を作り出しかねない。
同じ人間だって全ては信用しきれないのに……。
人工知能に代わられたくなかったら自分の人格を移植すればいい、とか簡単に考えてましたが、それってただ『移植人格』に名を変えた、もっとアブない(笑)人工知能を野に放つのと同じでは?とも気づいたり。
しかし!人間はすでに自らの生存本能と、無制限的な欲求を伴う知性を持っている。素敵なピュグマリオンを創る誘惑に抗しきれるでしょうか。私達は高齢化し、妻や子のいない者も多い。素敵な老後や永遠の生命さえ与えてくれ、何よりオタクな夢も叶えてくれるかもしれない(笑)技術を拒めるでしょうか。なあに遺伝子操作で超天才になった実の子だって何を仕出かすか分からないのはおんなじだ(←もうほとんどヤケ)!
『良心回路(プログラム?)』のようなものを考案してもらったり(←用語が昭和)、私達自身も親孝行や動物愛護や自然保護を学んで教えたり(←未学習か? そしてもしや俺達アリさん並みなのかっ!?)、人間を調べ人工知能に生かす過程で両者の向上を図ったりとか(←やっぱり楽天的)して、何とか人工知能の技術を開発・普及し活用していただきたい、と必死でお願いしたくなるくらい、インパクトのある作品でした。
自分の事は棚に上げて恐縮ですが、人工知能はこういうことも考えられるしっかりとした人達に、研究や管理を任せねばならないと感じました。
何を読むべきか悩む人はこれを読めば良い。幸いにも短編だからすぐ読める。
「人工知能」という1つの生態系について思いを馳せられる作品だ。
物語は主人公の独白の形式で進み、父の死から始まった主人公の半生を追って進む。
文章は読みやすいが、無駄が省かれているわけでもない。感性に訴えかけるコードで紡がれていると思う。
主人公と人工知能「KEEL」とのやり取りも魅力的だ。
後半からクライマックスにかけての追い込みは、登場人物たちの緊張感まで共有できるようだった。
もしかしたら、貴方が研究者としての側面を自身に内包するならば、「KEEL」が決定的な言葉を放つ前に、主人公の父親と同じ結論に至るかもしれない。
残念ながらそれは人間としては倫理的に間違っているだろう。
ーーが、論理に従う研究者としては正しいと思われる。
どちらが良いという話では無いが。
SFとしてパッケージされているが、人間ドラマとしても楽しめる良作。
涙を流せるほど感動できたので、星3つ。