短いけれどしっかりと作りこまれた上質なSF

人工知能といえば、SF映画や漫画では人間を支配するものとして安易に敵役にされがちですが、この作品では人工知能とはどういうものかについて徹底的に考え抜かれ、それがストーリーに丁寧に練りこまれており、作者の方の作品や設定に真摯に向き合う姿勢を感じました。また、設定が論理的にしっかりしているというだけではなく、父と子の生き方、人工知能との触れ合いの描写から漂ってくるちょっとセンチメンタルな空気がとても良い。謎解き要素もしっかりとあり、まるで小さな小瓶に入った高級なジャムみたいに短いながらも濃密で味わい深い作品だと思いました。

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