全て読みました。
クトゥルフの系譜を根底に据えた作品を読むのは初めてです。
本作の世界は恐ろしく、それでいてどこか悲しく、寂しい。
キャロラインという明るく良い心を持った少女を語り手の中心に据えることで、絶妙なバランスを最後までギリギリで保ち続け、ラストで全て瓦解させるその手法には舌を巻きました。
冒涜的とはこういうことか……。
悲劇的な、ロマンチックな、胸を躍らせるような、それらのいずれも最後には残らなかったはずなのに、なぜか全て読み終えた後に涙が溢れました。
この感覚はなんでしょうか。
私もすでに頭がおかしくなっていたのかも知れません。
しばらくこの世界から戻るのに時間がかかりそうです。
なんとか帰ってみせますが。
ブルーダイヤを巡る物語から始まったこのレポートは、あまりに冒涜的な内容であった。
言葉で言い表すことは難しく、なにかに例えることもまた難しい。
それでも強いて表現するならば、これは〝神話〟である。
それも、最も新しく、最も恐ろしい神話。
クトゥルー神話の濃密な原液そのものである。
暗黒神話を知っているならばなおさらに、何も知らなくてもどうしようもないほどに、この記事は我々に恐怖を植え付け、絶望的な世界へと誘ってくれる。
軽快な筆運びと、いくつもの短文が混ざり合って奏でられるこの記事は、まさにコズミックホラーの集大成と言えるだろう。
必見である。