何も言えない。口に出せば、溢れ出してしまうから。

全て読みました。

クトゥルフの系譜を根底に据えた作品を読むのは初めてです。

本作の世界は恐ろしく、それでいてどこか悲しく、寂しい。

キャロラインという明るく良い心を持った少女を語り手の中心に据えることで、絶妙なバランスを最後までギリギリで保ち続け、ラストで全て瓦解させるその手法には舌を巻きました。

冒涜的とはこういうことか……。

悲劇的な、ロマンチックな、胸を躍らせるような、それらのいずれも最後には残らなかったはずなのに、なぜか全て読み終えた後に涙が溢れました。

この感覚はなんでしょうか。
私もすでに頭がおかしくなっていたのかも知れません。

しばらくこの世界から戻るのに時間がかかりそうです。

なんとか帰ってみせますが。

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