舞台となる世界の歴史書に記されたある時代、ある国のページを読み解き捲っていくような物語。
そこには営みがあり、季節があり、争いがあり、生きていた人々がいたと文面としてではなく真実として読んだ人に見せてくれる。
あっさりと描写されている部分もありますが、それはそれで想像力をかき立てられ、もっと読みたいと心地の良い物足りなさで満たしてくれる。
話のテンポも良くてとても読みやすかったです。
世界の在り方は雨季のように曇天が続くけれど、終わりに見上げる空は始まりよりもずっと美しく晴れ晴れとしている。
そんなどん底から始まった二人のどん底で終わる、ありふれた愛の物語でした。