幸せとはなにか?

最後まで読了の上レビューさせていただきます!!

本作の作中世界には多くの問題があり、それは一人の英雄や一つのチート能力、魔法などで解決できる問題ではありません。
本作では私たちが暮らす現代社会でも未解決のままになっているそれらの難題に対し、解決するのではなくどう向き合うのかを提示した作品であると感じました。

人一人の力はとても小さく、たとえその問題が自分一人に起因する問題でも解決することは容易ではありません。
けれど少し見方を変えれば、差し迫った問題を解決するのではなく回避したり、逃げたり、もしくは未解決のまま別の道を選ぶなど、人には様々な行動を選ぶ自由があることにも気付くはずです。

それは幸せについても同じで、財産を得たり、周囲から羨望される地位に上り詰めることとは別の場所に望む幸せがあることも多々あるのではないでしょうか。

本作の世界とそこに生きる人々はみんな多くの問題を抱え、不完全で、常に傷ついています。
ですがそれでも、ちゃんと自分の本当の幸せが分かっている人は不完全なまま、傷ついたままでも望む幸せに辿り着くことができる。

私は本作を最後まで読み、そう強く感じました。

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