側室として、そして、それを仕事と割り切って後宮入りしたヒロイン。ある物を携え、訪ねてきた皇帝を押し倒した初夜。そして、そのある物に酔わされ、成し遂げられなかった皇帝。
ここで既に、ふたりの思惑はズレていた。わたしに言わせたら……、ふたりとも、超鈍感!
でもね、だからこそ、読んでいて楽しいのです。ズレまくりのおとなの恋愛にワクワクします。
そこに絡んでくるのが、謎多き魅惑の皇后。この回、読んだ時のわたしの衝撃は、皆さまにも是非味わっていただきたい。『そうきたかぁ……』と唸ってしまうと思います。
この皇后の登場で、ふたりの恋模様はどう変化するのか? 山アリ谷アリ波乱万丈の恋の行方は……?
中華後宮物語風ラブコメ、ここに開幕。
皇帝陛下のお世継ぎを産むため、後宮に入った娘、素流。ですがこの子、少し……いえ、かなりズレています。
寵愛を受けるのが目的ではありません。あくまで子をなすのが仕事。
お世継ぎができるよう努めようと、初日から皇帝を寝台に押し倒そうとしますが……そんなことで雰囲気は出るはずありません。
どうしよくもなくマイペースで鈍感な素流。子を作る気はあるのに、甘い雰囲気が全然作れません。
どれくらい作れないかと言うと、この作品に性描写有のセルフレイティングが必要ないくらいです。
世継ぎを作るのがテーマの後宮モノなのに、性描写無しとはこれいかに?
鈍感娘と、それに振り回される皇帝の掛け合いが、大変魅力的でした。
たった一人で後宮へ入る事となった娘、素流。そんな彼女に、皇帝である一翔は、冷ややかにこう告げる。
世継ぎを生むための道具にすぎず、寵愛など得られないと。
世継ぎを設ける事こそ後宮の役目とは言え、あまりと言えばあんまりなこの言葉。果たして素流は泣き崩れるのか、はたまた悲しみを飲み込み気丈に振る舞うのか。いいえ。なんと彼女は、ならば早速子作りをと言わんばかりに、皇帝陛下を押し倒してきたのです。
後宮ものには明るくないのですが、こんなにも大胆かつサッパリとした主人公が他にいるでしょうか? 多分、いないと思います。
不遇に耐え、それでも健気に頑張るサクセスストーリーかと思いきや、振り回されるのは皇帝陛下の方だった?
はたして校庭の寵愛、そして世継ぎはどうなってしまうのでしょうか?