安楽死をテーマに扱った小説は、SF小説に多いが、この作品は、そういったSF要素を組み込まずに、あえて現代の延長線上の世界として描いている。それは現代に蔓延している「死に至る病」を治療するには、現実と向き合わなければいけないという事と深く関係しているように思う。そして、自分が死にたいと思った時に、死ぬという選択肢があるという事、それは現実からの逃避ではなく、あくまで理性的な、自らの現実と向き合ったうえでの行動なのだろう。
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