概要
2020年代の東京。今と同じだが、少し違う時代。
マスクとフードを被った17歳の少年は、鍛えた拳と内に秘めた黒い怒りを武器に、変化し続ける都市に忍び寄る悪と戦う正義のヒーロー――"顔のない男"ブギーマン・ザ・フェイスレスになった。
ともに戦うのは、電子工作マニアにして三度の飯よりプライバシー侵害を愛する同級生、羽原紅子。監視カメラ、SNS、ドローン――ありとあらゆるセキュリティーホールを武器に彼女は犯罪者を追い詰める。
最初は学校という閉鎖空間を暴き、やがて彼らの敵は、教室に渦巻く悪意から、都市の平和を脅かすものへと変わっていく。個人が何にでもなれる時代に、少年たちは巧妙化する犯罪と戦うスーパーヒー
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!少年たちが巨悪に立ち向かう時、ブギーマンの伝説が生まれる。
ヒーローが生まれ、そして消えゆく伝説の始まりと終わりをこの目で見届けた事に対しての圧倒的読後感が、完結まで読み終えた後の胸に燃え上がるように広がっている。至近未来の東京を舞台に覆面ヒーロー「ブギーマン:ザ・フェイスレス」が様々な手段を駆使して戦うリアリティや、単純な善悪論で片付けられない社会悪と対峙するドラマの奥深さに、どこまでも惹きつけられる作品だった。
友人の自殺をきっかけに始まったヴィジランテ活動が、果ては国際テロリスト集団との壮絶な戦いにまで発展する。"顔のない男"「ブギーマン:ザ・フェイスレス」として戦う主人公、憂井道也と、卓越したサイバー技術を駆使した近未来的戦法で戦う奇人…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ヴィジランテとは崇高なのか、愚かなのか。現代において存在しうるのか。
非常に読み応えのある作品で、物語が展開するにつれぐいぐい惹きつけられます。
現代社会において罪は、それを裁く法が機能して初めて認定され、罰せられます。では法が定める範囲に届かないもの、罪だと認定されないもの、そもそも社会に露見することがないものはすべて罪ではなく、したがって罰を受けなくていいのか。そんな現代のどうしようもないやりきれなさがしっかりと描かれ、胸に迫ってきます。
人の悪意はいつでもどこでも存在していて、程度の大小に関わらず誰かを害している。そして小賢しい者はまっとうな追及の手を逃れ、安穏と悪事を繰り返し、人々を害し続ける――。そんな胸糞悪いやつらを見逃さず、まっとうでないや…続きを読む - ★★★ Excellent!!!彼らは悪を許さなかった。彼らは一切妥協しなかった。
近未来クライムヒーローアクション。
モチーフになったヒーローはいくつか浮かんだ。
それらを踏まえてもこの作品はとても面白く素晴らしい。
現実味のある巨悪。立ち向かうのは今作唯一のヒーロー。
この時点で個人的にはワクワクが止まらなかった。
数々のガジェットやハッキングの緻密な描写、現実に則した世界観、少し浮いた少年少女の恋愛模様なども特に魅力的だが、個人的に最も素晴らしいのは主人公ブギーマンフェイスレスの戦闘描写だ。その爽快感と確実性安心感は凄まじい。
ヒーロー好き、アクション好き、まあ兎に角読んでほしい。
間違いなく面白いから。 - ★★★ Excellent!!!姿を見せぬ悪を裁くべく、一人の少年は顔を持たぬ正義の味方へ変わる。
武術を学んでいる高校生・憂井道哉。
ある日彼は同級生がいじめられている現場に遭遇したのをきっかけに、正体を隠した正義の味方として活動することを決意する。
初めは学校の不良退治という身近な問題からスタートするが、話が進むにつれ、暴力団やコリアン・マフィア、政治団体などが絡んだ事件に遭遇し、どんどん物語のスケールは大きくなっていくからたまりません。
ただの高校生が、そんな大規模な犯罪組織を相手に戦うなんて、一歩間違えれば単なる荒唐無稽な与太話になりかねませんが、本作はドローンやARといったガジェットを使って、2020年代の東京という舞台にリアリティを与え、さらに道哉の相棒である紅子による、
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!彼が振るうのは、等身大の「正義」
舞台はまさに「少し先の現代」。
いつまでも前時代的な、弱肉強食の世界としての学校。
相互監視が進んだ、想像しうる未来。
そんな社会で、主人公・憂井道哉は、身近で起こった理不尽に対し抗いたいという、あいまいだけれど確かな気持ちを抱いている。どうすればわからないが、どうにかしたいと思っている。
彼の気持ちに、共感できる人は多いだろう。そして、彼が起こす行動にも。
だが、この生きづらい社会で生きて抗っているのは、道哉だけではない。そこがこの物語の、シビアで、リアルで、胸を刺す部分だ。
圧倒的な筆力とリアリズムで書かれた物語に、ぜひ触れてみて欲しい。
【第一話まで読了】