下村アンダーソン

雷神と狼を崇拝する一族の長が、もっとも勇敢な死を迎えた。その旅立ちを歌で祝福するはずだったリューリは、「女であるから」という理由でその役割を奪われるのだが――。企画「#父親の死体…

部長・澤城円の横暴に耐えかね、演劇部ではクーデターが発生しかけているのだという。対応を迫られた生徒会から、文芸部に調査依頼が持ち込まれるが――。女子高生ふたりが日常の些細な謎に挑…

蜂巣来夏14歳の夏休みに、新たな隣人が越してきた。ギターの名手であるその女性・アルセさんと来夏は親しくなり、レッスンを受けるようになる。それをきっかけに、来夏はかつて友人の駒場杏…

星の観察以外に趣味も特技もない、自称〈六等星〉の讃井朱音は、学校祭の準備を通してクラスメイトの霧積彩花と親しくなる。彩花の隠れた音楽の才能を知った朱音は、クラス展示のBGMの作曲…

倉嶌琉夏が急な病に倒れた。見舞いに訪れた志島皐月は、琉夏と同じ病室に入院している少女・甘木栞奈と、その叔母・楓と知り合う。楓いわく、栞奈はなぜか退院を渋っているらしいのだが――。…

兄・昴のバンドを観に出掛けた皐月。打ち上げにも招待されて兄のバンド仲間と交流を深めるが、内心に小さな違和感が生じる。帰りの新幹線の車内で、皐月は琉夏に相談を持ち掛ける――。女子高…

依頼人・酒入渚の古い記憶をもとに、文芸部は街のどこかに現れたという竜の秘密を探ることになる。郷土史に詳しい楠原律を頼ろうとする皐月に、彼女を敵視する琉夏は真っ向から反発して――。…

水槽から消えた古代魚と、友人の涙。他愛ない推理ゲームに興じていた皐月と琉夏のもとに依頼が持ち込まれる。「泥だらけで帰宅した妹が、上着のクリーニングを拒絶した。悪いことに巻き込まれ…

予算と備品をめぐり、生徒会と対立した文芸部。厳格な管財担当者・楠原律を敵視した部長・倉嶌琉夏は、彼女の化けの皮を剥いでやると豪語するのだが――。女子高生ふたりが日常の些細な謎に挑…

スキー旅行での転倒事故から7年間昏睡したままの親友を見舞った日、正体不明の獣に襲われた女子大生・冴木依織。巨大な屋敷に幽閉され、高慢な教育係や言葉を話せない姉たちとともに暮らす〈…

周防紬と小町の暮らす雛守市では、毎年秋の風物詩として妖怪の行列が練り歩く〈雛守夜行祭〉が催される。妖怪たちの訪れを〈むすび丸地蔵〉に祈念したふたりの前に、奇怪な男性が現れ、取引を…

「人の子は今日、待ち人と出会えんかもしれん」――夏休みを利用し、年上の友人である蓮花のもとを訪ねた暁更紗は、駅で出会った黒尽くめの男にそう告げられる。路地で見かけた不思議な光に誘…

志島皐月は杠葉高校文芸部に所属する一年生。部誌に掲載する短篇を書きあぐねた彼女は、ぐうたらな部長・倉嶌琉夏に自身の目撃した不思議な出来事について語る。Ｘはなぜ、近くの自販機でなく…

日常に発生する些末な事態に対する怒りの記録を主とした雑文。といってもざっくり「小説以外のもの」程度の、要はくだらない文章の寄せ集めです。不定期更新。

鬱蒼とした森に囲まれた泉に住む〈死せる魂〉たちは、名前も過去もない、きわめて曖昧な存在だった。古びた詩集を所有する少女はあるとき、自分より遥かに希薄な〈色のない少女〉と出会い、〈…

樋元翡翠の12歳下の義理の妹、沙由が亡くなって一年。オレンジ色の明滅と急ブレーキ……繰り返し甦る記憶に憑りつかれた翡翠は、失意の底でアルコール中毒に陥っていた。そんな彼女が旧友、…

小さな港町〈オザンナ〉で年に一度催される祭り〈海竜の日〉。その舞台に立つことを夢見る少女ミルカは、老楽器職人フリオの工房で青く美しい楽器を見つける。「自分の奏でるべき音」を探し求…

この街では一年に数度「死者」が降る。それを窓辺で眺めつづける曾祖母が「私」にかたった、幼き日の彼女と親友の物語。企画「死体が降ってきたところから始まる短編」に寄せた作品。

「蛇が蛇を噛むとどうなるか、知ってる？」「毒蛇がってこと？」「そうそう。毒蛇どうしが喧嘩かなにかしたとして、相手を噛んだら」――提示されるのはふたりの会話だけ。Twitter投稿…

呼び寄せた星を一年の護りとする儀式〈星呼びの儀〉に〈星呼び〉として参加することになったミーファ。しかし夜空に現れたのは、誰も予想しえなかった規模の巨星で――。降りそそぐ星と地表を…

広大な屋敷に独りきりで住む「私」は、夜の踊り場で不思議な発見をする。月の晩にのみ現れる踊りの名手「ゴースト」を、「私」はやがて友人と見做すようになる。そんな奇妙な生活が続いたある…

〈空魚〉と呼ばれる生物とともに、人々が空に浮かぶ島で暮らす世界。辺境の街で生まれたネアは、亡き母に教わった歌と物語を愛する少女だった。ある朝、その歌声に引き寄せられるように姿を現…

いっさいの記憶も感覚も持たず、ただ思考としてのみ存在する「わたし」は、昏睡した少女の内部に発生した存在だった。自分の器としての肉体を見舞いに来る少女・詩織を観察しながら、長い長い…

冴えない学生生活を送りつづけていた少女のローズはある日、自分に呼びかける声を聞く。その声の主は――自分の影の中にいる？　「ほんの少しだけ自分を匿ってほしい、その代わりに望みのもの…

森に住まう少女のヴィサラとマグダレーナ。ふたりはお気に入りの泉を聖域を呼び、ともに特別な時間を過ごしていた。ある朝に現れた仔鹿を、マグダはテオドールと名付けて愛情を注ぎはじめる。…

生き別れた祖母からの手紙を受け取った一ノ瀬柚葉は、友人の姫室理宇とともにその住まいを訊ねていく。しかし彼女たちを迎えたのは、無人の廃墟と妖精を象った奇妙な像だけだった。困惑するふ…

滅びゆく沙漠の女王と占い師、ブリキの旅人と兵隊、高名な魔術師とその助手、川向こうの街を目指す二人連れ、そして……。「私」の夢に必ず現れる「君」。その関係の終着点とは？　Twitt…

年若い女ばかりが殺される事件を恐れ、部屋に閉じ籠った「姉」だが、やがて彼女も不審な死を遂げる。遺品となったのは、奇妙な鉄仮面。「姉」の残り香を求めて仮面をかぶったとき、「私」には…

ロックバンド〈ネストポール〉のギターヴォーカルを務める眞見燈火は、心因性の病から咽を痛め、歌うことができなくなっていた。回復を待つ者、停滞に倦んで去っていく者……バンドを巡る混乱…

友人の「あなた」の所有物を盗むことに特別の快楽を覚える「私」。犯罪行為は幼少期から始まり、次第にエスカレートしていく。「あなた」に恋人ができたことを知った「私」は、当然のようにそ…

女子高生の長壁伊月は、友人の瀬那佳音に誘われて奇怪な人形展を訪れる。会場で出会った黒尽くめの「案内人」に導かれるようにして、ふたりは胸に裂け目のある人形と邂逅する。それ以降、伊月…

七つの階層に分かれた都市〈ニュー・アヴァンタジア〉。最上階たる〈第七階層〉に住む少女ネルは、さらに上へと向かう秘密の階段を見つける。先に広がっていたのは、都市とは大きく様相を異に…

友人のアキとともに自殺を試みた「私」は、目を覚ますと見知らぬ場所にいた。四方を霧に囲まれた、凝固した海。〈霧海〉と呼ばれるその世界で、「私」は不思議な少女ルルに出会う。並んで海面…

空から襲来する〈天使〉は、人間の重ねた罪の結晶と信じられていた。罪を償いきれば〈天使〉もまた消える――そんな教えに歯向かい、自らの手で戦うことを決めた少女たちがいた。三年前の戦い…

旱魃に見舞われた村を救うべく、十三人の娘が〈土神〉の棲むという洞窟へと送り込まれる。十二人は〈土神〉に出会う前に死に、生贄として役割を果たせるのは「私」のみとなる。自分を食べて怒…

新しい病院に移ってきた「私」は、治療の合間、旧友の月乃に手紙を書き続ける。治療のこと、投薬のこと、検査のこと、あらゆる苦痛を詰め込んだ手紙は、「私」に同情的な看護師の深瀬に託され…

冬の始まりまで眠りつづける宿命を持つ〈山の民〉。朝一番に家族で出掛けるはずの〈衾雪の市〉を楽しみにするあまり、末娘の凜は夜のあいだに目を覚ましてしまう。不思議な光に誘われるように…

熱と渇きが容赦なく罪人の魂を削る砂漠においては、もっとも慈悲深い女が処刑人となる定めがあった――千と一代目の処刑人イマンは、一口の水を盗んだ少女ズレーカを斬首すべく、街へと向かっ…

「私」は恋人の巴から、過去にした悪事を告白し合おうと提案される。乗り気ではなかった「私」だが、ねだられるうちに古い記憶が甦ってくる。それは、友人たちとともに廃品置き場を遊び場にし…

「私」と「姉」は腰から下を分け合う結合双生児。感覚や感情を共有し、幸福に過ごしてきたが、あるとき、手術によって分離されてしまう。健常さを取り戻した「姉」は、切除された断片の「私」…

常に月に照らされる〈月光領〉に住まう〈月の君〉は、やがては国の王女となるべく厳しい教育を施されていた。ところが高度な記憶能力を持つ彼女にとっては、何もかもが退屈。抑圧的な環境に嫌…

裁縫を仕事とする「私」のもとを「指売り」が訪れる。見せられた標本の中にめぼしいものはなかったが、「指売り」自身が素晴らしい指の持ち主であることに「私」は気付く。交渉の末、全財産を…

「お前」の血を啜ったことで、人間ではなくなった「私」。怪物としての運命を忌み嫌いつつも、「私」には「お前」に付き従う以外に何のすべもなかった。憎しみと血に彩られた長い生の果てに、…

アパートの一室で、ドラッグに溺れながら退廃的な暮らしをしてきたトーリと仲間たち。ある日そのうちのひとり、フレイと、残りのドラッグが丸ごと消え失せるという事件が発生する。盗んだのは…

森や水辺に棲み、ざわめきにも似た声で鳴くという「蟲」。彼らと意思を通わせるための楽器「蟲笛」の奏者である千歳は、幼い頃から二種族の共生を夢見てきた。蟲が異様に騒ぐとの知らせを受け…

優れたピアニストでありながら自分に自信を持てずにいた少女・稲澤夏凛は、高校1年の春、古生物学者の娘で帰国子女の鼓ひまわりと出会う。華々しい経歴と快活な人格の持ち主である彼女を、初…

「訪れるのは三艘の舟である」との言葉が語り伝えられた国で、「夢」という名の少年は不思議な幻を見る――どこにもない、しかし必ず存在するという国、ネヴァーランド。その驚くべき建国秘話。

「曲だけは大昔からあるんだけど、ひとつの作品としては永遠に完成しないの」――湊本千紗は友人の朝霞ひばりから、尸童囃（よりわらばやし）と呼ばれる不思議な歌を聴かされる。毎年夏祭りの…

レイチェルには生まれつき、人間に取り憑く「影」が見える。彼女の目に映る人間の大半は、醜くおぞましい化物だった。今の同居人のラナは、「影」に憑かれていない美しい女だったが、性格はい…

佐倉秀平：夢破れた映画人。無宗教で現実主義者。 新堂雪歩：内気な少女。ミュージシャン「トーマ」のファン。 須貝明輝：無気力な少年。うっかり学校祭の実行委員に任命される。 若槻遥：…