概要
あなたを愛した、美しくも忌まわしいけだもの。
森に住まう少女のヴィサラとマグダレーナ。ふたりはお気に入りの泉を聖域を呼び、ともに特別な時間を過ごしていた。ある朝に現れた仔鹿を、マグダはテオドールと名付けて愛情を注ぎはじめる。テオドールが美しく立派な牡鹿に育つにつれ、ふたりの運命は少しずつ狂っていき――。Twitter投稿企画「殺伐感情戦線」より、お題「後悔」に寄せた短篇。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!殺伐百合。少女の愛が悲劇を生んだ。
普段、百合というものをあまり読まず、殺伐百合というものもごく最近知りましたが、少女という存在をここまで優しく神聖的に描かれる書き手さまを、私は他に知りません。
こんなに無垢な敬愛を抱ける少女は創作界隈でもそうそう見られるものではないと思います。
少女に対するイメージががらりと変わります。
今作は殺伐百合ということでその愛がひとかたならぬ屈曲を見せ、思わぬ悲劇を招きます。
思えば私も幼い頃は小さな子供社会の中で抑えがたい独占欲を抱え、友達の何気ない一言や仕草に一喜一憂し、日々変わる人間関係にはらはらしたように思います。
命を奪うことはなくても、心を傷つけ合うことが少なくなかったようにも思い…続きを読む