昨年に引き続き、今年書いた小説を振り返っていこうかと。まだ執筆途中の作品もあり、自分の中ではいまひとつ区切れていないんですが、とりあえず大晦日ということで一年の総括をしていきます。
〈長篇〉
天鵞絨症候群
一か月の中断を挟み、およそ半年をかけてしまったダークファンタジー。今年はとにかくこれがつらかった。あらゆる面で大変でしたが、特に重かったのはあるキャラクターの内面の掘り下げですね。しかし苦労したぶん、自分にとって特別な作品になったと思います。
Sweet Honey Overdrive
未公開ですが完成しています。こちらは執筆期間50日。これまでにも音楽を題材とした小説はいろいろと書いてきたのですが、ロックをど真ん中に据えたのは初めてでした。幅広い層にはアピールしえないかもしれませんが、「自分にとってのロック小説」を形にできたのではないかと思っています。
〈短篇〉
小さな生き物
「日常の謎」を中心としたミステリのシリーズ〈杠葉高校文芸部〉の一作。現時点ではまだ公開されていませんが、すでに書きあがっています。昨年発表した「琉璃色の習作」と同様、実体験をもとにした部分が数多くあります。
きっとあなたを許さない
同じく〈杠葉高校文芸部〉。準レギュラー化するであろう生徒会の面々を早めにお披露目しようと思い、こちらを先に公開しました。ライバルというか喧嘩友達というか、いがみ合いつつときどき協力し合う、といった関係になるかと思います。
竜を見るには竜の(仮)
現在執筆中の四作目。文芸部シリーズは第六話あたりまで書いたらいったん区切ろうかと考えています。それでだいたい本一冊ぶんになるから、というだけの理由で、シリーズ自体は継続する予定です。
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今年の達成としてはまず、長篇を二作完成させられたことですね。とにかく自分の中ではこれが大きいです。それから一年を通して頓挫した作品がなかった、というのも地味に嬉しいですね。
またダークファンタジー、音楽・青春小説、日常の謎ミステリと、それなりにジャンルの幅を広げられたのもよかったです。「根っこは同じ」という感覚こそありますが、それもまた作風なのかな、と。
いっぽうで残念だったのは、単発の短篇や掌篇を発表できなかったことでしょうか。いちばん「手軽に読みやすい」作品群だと思うので、こちらも増やしていきたいところ。
苦労は山ほどありましたが、今年もどうにか書きつづけ、発表しつづけることができました。いつも読んでくださっている皆さま、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。