@kisuisyou

私、朝霧志保は妖怪を見る事ができる。妖怪の……友人だっている。 だけど、私達が一緒にいられる時間はもう残り少なくなっていた。私の中にある妖怪を見る力は、次第に失われつつあった。…

異常な痣とともに少年ロクドは生まれた。 左の指先から手首までを、深い深い暗闇の沼に浸したような、異常な痣。それは、彼の人生を決定づける、忌まわしい呪いの印だった。 呪いに蝕まれ…

「リイト――わたし、とうとうここに――孤塔の前に来たよ。これから、あなたが行きたがっていたところに登るよ――」 死んだ初恋の相手に代わって、塔師見習いになった少女、カシホ。 見…

戦乱の大陸を捨て海に漕ぎ出した張旦は、東海の倭国に流れ着く。その地を治めていたのは若き聡明な王「イズモタケル」だった。彼の治める平安なるイズモの地でひとときの安息を得た張旦だった…

ヤマトのヒメミコである、サナ。 不思議な声を聴く力を持つ彼女は、戦乱の中、一国の女王となり、そして一人の人間として生きてゆく。 その側には、いつもマヒロの姿。 二人を中心とした…

「火竜」と呼ばれる命知らずの傭兵と大陸を旅する「語り部」パルヴィーズが、夜毎に語る、妖しくも美しい「魔物」に魅入られた者達の恋物語。 「大陸」と呼ばれる世界に伝わる異類婚姻譚や…

人の心の闇を糧（かて）とする妖魔。その王を創造主として崇める「大陸」で、戦乱の世が終わりを告げようとしていた頃。 かつて大神殿に仕えたシルルースは、幼い頃に出逢った愛しい人への…

【電撃《新文芸》スタートアップコンテスト　中間選考通過作品】 人と妖魔が共存する「大陸」と呼ばれる世界。 大切な人を目の前で殺され、自らも傷つき囚われの身となった傭兵シグリド…

「戦にいくっていうのに、そんなに喜んで。本当に、物好きな姫君もいるもんだね」 須勢理が一目惚れをして嫁いだ武王には、すでに大勢の妃がいた。ありえない…！ こうなったら、狩りの腕を…

「出雲国風土記」と「古事記」の私的解釈。 倭国大乱の時代を舞台にした物語。 十五歳の狭霧は、出雲の国の姫。 父は武王、祖父は賢王、母は伝説じみた女将軍と、家系には大物が揃ってい…

大切な宝珠を失くした姉姫の罪をかぶって処刑される代わりに、姉姫の身代わりとして、ある男の守り人になることを命じられた少女、セイレン。 仕えることになった男は、淡海と海の水運を司る…

「あんたが選べる道はふたつにひとつ。ここで狐の餌になるか。俺に『盗まれる』か」 莵道の末姫・かさねは、狐神に嫁ぐため、親しんだ家を出る。しかしその婚姻は、豊穣のための贄を意味して…