小説では心が動かなかったシーンが、優れたBGMによって名場面に変化することがある。
絵もまた然り。動きのあるシーンではスピード感や迫力が増し、景観は息を飲むほどに壮大、人物の複雑な表情や仕草さえも一瞬で表現する。
つまり、物語小説というのはアニメ化によって何倍もの輝きを放つもの。大抵の場合はそう言えるだろう。
ただ残念ながら、それに向かない作品も存在する。芸術性を追い求めた小説などはその一例だ。
例えば、代表的なレトリックである隠喩や直喩。「○○のような□□」などの表現は、ある程度までならいいが、芸術性を追い求め過ぎると万人には伝わらなくなり、映像化も難しくなる。
また、何行にも渡って書かれた緻密な文章が、映像化してみると実はわずか数秒のつまらないシーンだったりするのはよくあること。
芸術性はひとつの方向性ではあるが、映像化に適しているとは言えず、幅広い世代に向けたエンタメ作品としての価値はあまり高くない。
かといって、三流ラノベによくある稚拙な俺様口調の文章が適しているかというと、そんなことはない。
そういう作品は大抵、主人公の雑な主観的感情によって語られるが、それは描画ではなく心の声として扱われるもの。
ようするに、それらを忠実にアニメ化すると、乱暴な口調のナレーションにまみれたウザい作品にしかならないわけで。
しかも、文章の未熟さゆえにシーンごとの情景やキャラの動きが浮かび上がって来ず、それを映像化するスタッフの負担はかなり大きい。
またジャンルに関しても、適するものと適さないものがある。
例えば、スローライフやラブコメのような盛り上がりのない平凡な日常が舞台の作品は、映像化したところで心踊るほどの効果は期待できない。
ホラーや推理ものなども、なぜかアニメ化すると陳腐さが滲み出てしまうため、実写として扱われるパターンが多い。
こういったことから、アニメ化に最適な作品とは次のようなものであると考えられる。
【条件①】
ライト文芸(純文学とラノベの中間)くらいの文章であること
【条件②】
ファンタジーやSFなどアニメ化のメリットが大きいジャンルであること
【条件③】
高い独自性とストーリー性を有すること
以上、この企画では「アニメ化に最適な小説」を募集する。上の①~③に当てはまる作品の参加を期待するが、あえて違反したい人はどうぞご勝手に。
読み合いではないので、読む読まないは各自の自由。
エッセイや創作論の参加はご遠慮願う。
参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「アニメ化に最適な小説の本棚」を選択してください。
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