面白くて、最後まで一気読みでした。
魔法少女、地球外生命体の襲撃、戦争。
びっくりするような設定なのに、渚くんを始め登場人物たちの葛藤や悩みや丁寧な心理描写で何だかすごくリアリティがありました。
文章もテンポよく読みやすく、また戦闘シーンは迫力満点。いろいろな意味で楽しめました。
主人公渚くん、そして朱音ちゃん、晄ちゃん、藤村さんの個性もそれぞれにきっくりとしていて、さらに周囲の人物の描き方も納得。そういう絡まりのなかで葛藤し考え決断する主人公が眩しかったです。
とくに朱音ちゃんと晄ちゃんのの芯の強さが、藤村さんの個性の強さの影で光っている気がしました。
実は悪い人って出てこない。でもほんわかした話ではなく、とてもシリアスですよね。
構成も、気になってどんどん読んでしまうし、納得がいく結論になって、よかったです。
外宇宙からの侵略者との戦争が終わって、一年半。
世界は復興へ向かうものの、戦争の爪痕は深く、今もなお人々の心に影を落としていた。
群馬の廃校舎を利用して設立された高校。
そこには、戦争孤児たち、戦火に傷ついた人々が集められていた。
そして、そこに通う一人の少年――幸城渚。
彼はかつて、「魔法少女」と呼ばれた存在だった。
戦争の中で、人類の希望として戦った。
けれど、それは「自分がなりたかった魔法少女」とは決定的に違っていた。
渚の周囲には、戦争の影を背負う少女たちがいた。
金髪碧眼の少女、十条晄。
彼女は、どこか人間とは異なる雰囲気を持っている。
栗色の髪の少女、藤本朱音。
彼女は渚と晄の「秘密」を知る、数少ない理解者だった。
そしてもう一人、藤村祥子。
彼女は、かつて魔法少女に憧れた少女だった。
だが今、魔法少女を信じない。信じられない。
魔法少女は、世界を救った。
でも、誰もが救われたわけじゃない。
戦争が終わった今、少年は「魔法少女」という存在と向き合うことになる。
これは、魔法少女に憧れた俺が、本当に魔法少女になるまでの話。