外宇宙からの侵略者との戦争が終わって、一年半。
世界は復興へ向かうものの、戦争の爪痕は深く、今もなお人々の心に影を落としていた。
群馬の廃校舎を利用して設立された高校。
そこには、戦争孤児たち、戦火に傷ついた人々が集められていた。
そして、そこに通う一人の少年――幸城渚。
彼はかつて、「魔法少女」と呼ばれた存在だった。
戦争の中で、人類の希望として戦った。
けれど、それは「自分がなりたかった魔法少女」とは決定的に違っていた。
渚の周囲には、戦争の影を背負う少女たちがいた。
金髪碧眼の少女、十条晄。
彼女は、どこか人間とは異なる雰囲気を持っている。
栗色の髪の少女、藤本朱音。
彼女は渚と晄の「秘密」を知る、数少ない理解者だった。
そしてもう一人、藤村祥子。
彼女は、かつて魔法少女に憧れた少女だった。
だが今、魔法少女を信じない。信じられない。
魔法少女は、世界を救った。
でも、誰もが救われたわけじゃない。
戦争が終わった今、少年は「魔法少女」という存在と向き合うことになる。
これは、魔法少女に憧れた俺が、本当に魔法少女になるまでの話。