[ポイント①:人物像がイイ!]
本作の見どころは登場人物全員に、性格から考え方に至るまで丁寧に書き上げられている点でしょう。
それぞれの視点から見た状況が語られ、物語全体に一側面だけではない思惑や心情が見て取れます。
全ての登場人物に作者の思いが詰まっていると感じられました。
[ポイント②:世界観がイイ!]
なんと言ってもオリジナルの世界観です。
始まりは現代日本でありながら、舞台となるのはまるで別世界かと思うような近未来的で不思議な王国。
他国から隔離された独自の技術と文明を持っていて、その一端を垣間見るたびに読者の想像力を刺激します。
[ポイント③:テーマ性がイイ!]
主人公の成長という分かりやすい主軸に沿いながらも、全員がそれぞれの形で共通する終着点を各々の思想で達成させようとする。
勢力があり、派閥があり、一見すると複雑になりがちな構図ですが。
終着点が決まっている事と、主人公の成長の物語という分かりやすい軸のおかげでスラスラと読み進められます。
[ポイント④:万人向けがイイ!]
本作は老若男女どなた様でも勧められる作品です。
好きなジャンルの作品ばかり読むのも良いですが、似たような物語ばかり読んでいて少し食傷気味になっていませんか?
そんな時こそ万人向けの作品でリフレッシュ。
読書感を一旦リセットしてみましょう。
以上4つのポイントのどれか一つでもピンと来たのなら、是非とも貴方の本棚にこちらの作品を加えてみて下さい。
物語の要素と構造でいえば、主人公が困難や危機に遭遇する、主人公が旅立つ、協力者と出会う……という展開が童話から、今まで映画までずっと繰り返し使われてきた。
なぜか?
それは、主人公が試練を通じて、成長する物語を私たちは愛してきたからであり、それは現実でも、パターンで考えることで、困難を越えて人生を生きていくからに他ならない。
そのために、大昔から人間は物語を必要としてきた。
この女子高生が不思議な国の女王の候補として、旅立つ物語は王道の物語と思える構成力がある。
主人公がどんな成長をして(恋もゆっくり書かれていくか?)、この国も変えていくのか、今後の展開に期待したい作品です。