「第33回電撃小説大賞 宇宙」を含む小説

戦争のない数百年後の地球。どこにもいそうな少年ルックは平和な世界の裏で、「粛清」の依頼を受けている――偽りの平和の水面下で人々の殺し合いが続いているのだから。ある日、彼に新しい依…

　わたしには名前がある。 　それはシズク。 　意識を持つ、たった一滴の水。 　三十五億年前、わたしは原始の海で目覚めた。 　以来、わたしは地球のすべてを見てきた。 　三畳紀の…

もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら？ もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら？ 実際のところ、そんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っ…

生命なき惑星で、自律進化を遂げたロボットたち「リベレーターズ」。 歴史研究者ミカエルは、惑星を滅亡させたのは人類の過ちではなく、「大収束」と呼ばれる不可避の宇宙現象だったという真…

　宇宙には、星の死を看取る者がいる。 　星喰い——死にゆく恒星の光を食べ、その命を新たな星の種として還す存在。彼らは宇宙の葬送者であり、産婆であり、誰にも感謝されることのない孤…

　これまで、根本円（ねもと・まどか）はただ普通に真面目に暮らしてきた。ところが、十八歳の誕生日に、これまでには気づかなかった事に気づき、それをおかしいと感じ始めた。 　普段と同じ…

天文学者K氏はある日、地球から比較的近い距離にある小さな惑星を発見。以来、この惑星を観測する。その惑星の実の中は「ユーモア星」。巨大な石版にぎっしり刻まれた記号の羅列、不思議な暮…

　宇宙が死んでから10^100年。 　すべての星が燃え尽き、すべての物質が崩壊し、時間さえもが意味を失った真空の海で、たった一つの意識が観測を続けていた。 　量子意識「ケイ」…

「何もかもつまらない。生きている意味が分からない。」 僕はそんな人間だ。 生きる意味とやりたいことを失った青年は、失うものが無いからこそ、ある日、宇宙へと繋がる不思議なエレベー…

　オーストラリアの聖地で、一人の女性長老が最後の旅路についている。ナルリタ──アボリジニの古い叡智とチベット仏教の深遠な瞑想法を統合した、稀有な存在。 「女は器よ」 　祖母の…

極道である青葉組の空、晴、宇宙は海の兄弟。海は幼い頃に両親を亡くし、5歳の時、青葉組の組長に引き取られた。そんなある日、組長が高校生の海にあることを告げてきた。それは、花宮組の若…

　失恋の傷を抱えたプラネタリウム解説員・星野美星。人工の星空に疲れ果てた彼女が向かったのは、地球で最も美しい星空が見えるアタカマ砂漠だった。 　そこで出会ったのは、宇宙の始まり…

「始まりは、何かの終わりから始まる」――そんな使い古されたパラドックスは、もう聞き飽きただろう？ だが、ひとつだけ確かなことがある。君が見ているこの現実、秩序という名の完璧なホロ…

　リナは天才数学者だった。 　意識を数式で記述する革命的な理論を完成させた瞬間、彼女は言葉を失い、虚空を見つめるだけの美しい人形となってしまった。 恋人である神経科学者のカイは…

　水深八千メートル、地球上で最も陸地から離れた場所「ポイント・ネモ」。 　ここは宇宙から還ってきた人工衛星たちの墓場。 　元宇宙飛行士候補の帆村サクラは、今では深海でスペース…

　宇宙コロニー『エデン』では、全ての人間が完璧な美貌で生まれてくる。 　だが僕だけは違った――歪んだ身体、溶けた顔を持つ唯一の「エラー」。 　人々は僕を『ガーゴイル』と呼び…

　他人の心の痛みが絶えず流れ込み、魂を蝕む――精神感応士ミナにとって、その特殊能力は「呪い」でしかなかった。心を閉ざし、ただ業務をこなすだけの灰色の毎日。そんな彼女に、最果ての…

　宇宙暦2387年。地球が滅んで四十三年―― 　宇宙船「ノアの方舟」の人工子宮で育ったヘレナは、人類最後の遺伝子を受け継ぐ少女。AI化した母親「マザー」との対話だけが、彼女の…

　ある夏の午後、白戸市の田火山に抱かれた湖・根津湖に小さな隕石が落ちた。 　その後、田火山の山荘レストラン『山猫亭』では、武田中学一年C組の同窓会が開かれる。 　集められたのは…

母堂六美は、巨大な仮想空間（サーバー）に生きている。彼女にとっては、この仮想空間こそが現実であり全ての世界である。その巨大な仮想空間に暮らし、運営と構築をするアカリ。 精神生命体…