概要
最果ての地で交わす魂の対話。それは、心を救うための最後の航海。
他人の心の痛みが絶えず流れ込み、魂を蝕む――精神感応士ミナにとって、その特殊能力は「呪い」でしかなかった。心を閉ざし、ただ業務をこなすだけの灰色の毎日。そんな彼女に、最果ての終末期施設にいる一人の患者、カイのカウンセリング依頼が舞い込む。
彼は、身体が石に変わる不治の病に侵されながら、死を前にして、不思議なほど穏やかな静寂を湛えていた。戸惑うミナに、カイは自らのことではなく、他の患者たちのささやかな願いを叶えてほしいと語りかける。
なぜ彼は、絶望の淵で他者を想えるのか。対話を重ねるうち、ミナはカイがかつて伝説の「星渡り」であったこと、そして宇宙の深淵で聴いたという「星々の歌」の記憶に触れていく。
これは、心を閉ざした一人の女性が、自らを燃やして他者を照らす「燈台」となった男の