「江戸寛政」を含む小説

ある日、遊女の清花は、小間物屋が商うべっ甲の櫛を見て、欲しいと手に手取ったが……。

甲州の在から江戸に出て丁稚奉公からはじめた安兵衛は、じぶんで古着屋の店を始めて財をなした。 ひょんなことから二人の妻を持ち、得意の絶頂にあったが、やがて夜の生活が思うにまかせなく…

江戸寛政のご改革のさ中、高位の僧侶、侍、町人たちが次々と糞尿まみれの辱めを受けて非業の死を遂げる！ 持てる者たちへの貧者の意趣返し？ はたまた正義の使者による無差別殺人なのか？ …

左門之助は、鳥越の埋め立て地でみずから墓穴を掘った。 穴の前で腹を斬るところを、東洲斎に絵にしてもらい、穴に埋めてもらう約束をしたのだ。 もうひとつの約束は、そのハラキリの絵を、…

二百有余年の泰平を謳歌する爛熟の江戸。 あらゆる遊興の類が世に繚乱し、人々は挙って戯作や芝居の乱脈に酔い痴れ、歌舞音曲の享楽に耽って華やいでいた。一方、武門にあっては、微睡みの…

「やばい」は「矢場の女」からきたというのは俗説とか。 正しくは、盗っ人や香具師の隠語で、「具合が悪い」の意。 元禄のころからある遊びで、楊弓で矢を射る場所を矢場といった。 ここで…

初めに犬が死んだ。 次に、ひとが死んだ。 同じ仏滅の日の同じ時刻に、別々の場所で四人の男女が心中！ 寛政江戸の不可能犯罪にお役者目明し浮多郎が挑む。 「東洲斎と洒落斎、ふたり合…

「拙者売ります」の看板を首から下げた牢人が、入谷鬼子母神の境内に座っていた。上野の質屋の後家が、この牢人を買ったことから事件が起こる。 東洲斎と洒落斎、ふたり合わせて写楽だぁー。…

東洲斎と洒落斎、ふたり合わせて写楽だぁー。 そんなふざけたことが言えるのは、東洲斎写楽の素性が不明だからです。 片割れの東洲斎は、抜刀術の達人でのんだくれ、枕絵師のニヒルな牢人・…