「少しふしぎ 短編」を含む小説

【母は自らの小説を蟲毒のように作っていると言った。実際似たようなものなのだろう。しかし、もしも本当にそれが真実なのだとしたら、母は壊れた文章だらけの空間に閉じ込められ、一生そこで…

感情を育む七色の「雨-飴-」が降る街。 傘差し女の「あたし」はそれが怖くてずっとひとりぽっちだった。 けれどある日、隣町の「傘差し男」と出会い―― 6,000文字で完結の短編で…

僕こと「タロウ」はフラという少女とただ毎日、荒れ果てた大地を眺めて世間話を続けていた。 人口が増えたこと、シェルターのこと、昔にあった森林や海のこと。 退屈でもなければ楽しくもな…

【思い出は常に重なる。どれだけ抵抗しようとしても。】 産まれて死に続ける人の話です。

気がつくと井戸の中らしき暗い場所にいた。這い出ることを試みるが底が深すぎて無理ゲーだった。

中学一年生になり、初めて一人で電車に乗った奏はうっかり寝てしまい、最寄りの駅を乗り過ごしてしまう。仕方がなく、知らない街で電車から一度降りることに。その街はとても変わっていた。 …

〈大樹界〉に住むタキャク族。 　彼らは性的二形であった。 　メスはティラノサウルスのようにデカく凶暴、肉食獣であるのに対し、オスたちは随分と小さく非力で弱々しかった。 　メスに…

ミーンミーンミーンミーーーーーーン、ミーンミーンミーンミーーーーーーン、ミィィーーーーン、ジジジッ。ミーーーーーーンミンミンミン…………つくつくほー、つくつくほー、つくつくほー……

「失くしてしまった物を数えるよりも、今あるものを数えていたい」 そんな歌ばかり聴いていたいような日々になってしまっても、それでも私たちは諦めない。

伝え聞いたり体験したり、身の回りのオカルトチックな短編集。 出来るだけ毎日、少なくとも2日に1話は更新予定。 ちまちまと小ネタを小出し中。

【人類は皆どこか安心しきっていた。あと七日でこの命が終わる代わり、あと七日で我々はラプラスの呪縛から完全に解かれるのだ。】 ラプラス、という名の、この世の全てを完璧に予測できるシ…

【暗室から出てくる先輩の顔は、ちょっとどころではなく面白い。顔全体をくしゃくしゃに縮めた出来の悪い梅干しみたいな姿を見るたび、私は心の中で「どうかこの人が一生誰からも恋しく思われ…

【ゆえに生まれた子どもは眼球を持たない。代わり、眼球が収まっているはずの空洞には無数のバクテリアの抜け殻がガラス玉のような塊となって埋まっている。薄水色に透き通るそれはこの世のも…

【もちろん役割そのものを否定するつもりはない。役割がなければ自身の身の振り方を判断することすらできず、自身の感情を持て余し、何者にもなれずに死んでいく人間に満ちた世界は腐ってしま…

【尊厳だとか人権だとか常識だとか、そういった「当然」をひとつ残らず排除してしまえば、やはり生きるとは酷くシンプルなことなのだろう。】 めちゃめちゃかわいくて躾のなっていない女の子…

とある失敗で落ち込んだ主人公は、夜の井の頭公園に入り込む。 そこで出会った女性との、まどろみのようなダイアローグ。 現代SF（すこしふしぎ）小説です。主人公の性別は決めていませ…