「死生観」を含む小説

全て短編なのでお好きなところから読んくださ。

──魂は、信じる者にだけ宿るのか。 崩壊した文明の荒野で、ひとりのロボットが静かに機能を停止した。 彼は、神と魂の存在を信じていた。そして、自らの死に際して「葬式をしてほしい」…

苦しいから歪む。 楽しいから笑う。 いつだって表出される現象は逆だ。

　敵国に攻め込まれ、敗戦確定の火城で若き女剣士である燐子は、君主でもある父親の介錯を終え、その後を追おうと切腹を決意する。 　ところが、小太刀の切っ先を自らの腹の前に構えた瞬間…

多種多様な種族が共生する世界。 それぞれが抱える“寿命”や“死”の形は、まるで違う。 人間、獣人、悪魔族、精霊族、昆虫型知性体── 種族が異なれば“別れ”の概念すら変わり、 愛…

　南フランス、プロヴァンスの小さな村。丘の上に佇む一軒の家と、色とりどりの花々に彩られた庭園。 　八十六歳のエマヌエル・デュボワ、通称マヌーは、三年前に天に召された夫アンリと共…

大水槽、クラゲの水槽、深海生物の企画展、生態系の解説。穏やかな平日の水族館。 同僚の彼と話しながら、深海に、生命に、思いを馳せる。 でも彼の……淋しげな、意味深な態度は、何なんだ…

　四十歳の誕生日、会社員の三上里奈は母の死後、不思議な衝動に駆られてインドのバラナシへと旅立つ。母の最期の言葉「人は死んでも、母なる大河に還るだけなのよ」の意味を求めて。 　聖地…

恐竜の化石、生き物の剥製、生きた化石、昆虫の標本。同僚の彼と話しながら、ふたりきりでゆっくりと見て廻る。 金曜日の昼間、誰も居ない博物館。 恋愛物が好きな方も苦手な方も、楽し…

　深海200メートル。光の届かぬ闇の中で、沈没船「ル・グリフォン」は静かに横たわっていた。 　かつて人間を運んだ船は今、数百種の海洋生物の住処となり、不思議な意識を宿していた。 …

医学部生の避けて通れぬ大切な授業、解剖実習。僕は他人の死と、最愛の死と、自分の死を想う。それぞれに対して抱く感情は当然、別物だった。

猫と私の、終わりを掴む物語。 主人公が愛猫に来てしまう終わりを受け入れていく物語です。

　八十四歳の女性画家・久保鳳来は、急な病で倒れた日から、死との距離を身近に感じるようになる。 「死ぬということは、無責任になるということではないだろうか」 　長年の助手である…

◼️ 不定期更新 ◼️ ◇ 超少子高齢化社会を脱するために、高齢者を生産年齢まで若返らせる『若返り技術』が確立された世界。しかし、その代償として若返った年齢以降の記憶はすべて失…

ハッピーエンドさん。 自殺掲示板において幸せな死の結末。ハッピーエンドを齎してくれる者。 真相は不明。 だけど、もう死ぬんだ。嘘だったとしても騙されたとしても、どうだっていい。

2157年、仏教物理学は衝撃的な発見をした。人の死の直前の記憶が、量子もつれを通じて次なる生命に影響を及ぼすことが判明。負の記憶は歪みとなって伝播し、地球の生命を蝕んでいく。 …

掌編小説集。死生観。

執筆を続けていくと分からないことばっかりになって困惑する 正義って？ 恋って？ 応援する気持ちって？ 何もかもが分からない 分からないから描けない 私の答えは人ときっと違う…

　孤児であった春太郎は幼いころ常春島の名士、桜花青治に引き取られ、その娘である春児（はるこ）の専属執事として仕えてきた。 　そんな春太郎が十七歳の冬、不調を感じて検査を受けると不…