海の底で眠りに落ちる

素晴らしく美しい始まりの物語。

まさに夢のような美しい情景、細やかで優しい情感のやり取り。

閉ざされた世界で、そこには刺々しいものなど何もなく。
そして、見えて来るのは、広がりのある2人の未来。

こんなに美しい世界を描けるなんて、すてき。

ぜひご一読ください。

とても静かで優しくて、少しさみしい。
だからこそ少しずつ寄り添っていくのかもしれません。
情景が浮かび上がるような描写力で、のめり込んで読ませていただきました。
素敵なお話です。
おすすめいたします。

――たったひとり、なんかじゃなかった。
青の底で、ふたりは、静かに息をしていた。

最初の二人の会話から、一気に――それこそ、水底に沈められるかのように――物語に引き込まれました。

軽やかでいて、近く、でもどこか遠いヒロイン。
理知的で抑制的、それでいて、微かに深い渇望を滲ませる彼。

水族館の静謐と、二人の柔らかな距離感が、
言葉と沈黙のあわいに浮かびあがり、読者の肌にそっと触れてくる。

鮫は、生涯を通じて歯を生え変わらせ続ける生き物です。
その姿は、再生と変容の象徴であり、また多くの文化圏では、見えない何かを守る「守護者」としての顔も持ちます。

そんな鮫を、これから見に行こうと約束…続きを読む