「大人な童話」を含む小説

マリコは、鏡の前で、いつも問う。 過去の事件の事を。 マリコは、２５年前に、夫であったタクミを殺していたのだ。 ただ、その記憶と罪悪感は、年月が経つにしたがって希薄になっていく。…

新入社員のメグミを、コミュニケーションの心算で居酒屋に誘った。 そこで、メグミから、思わぬ告白を受ける。 前世からタクミの事を愛していたと。 それを聞いたタクミの妻リカは、面白が…

【宣伝広告】『わたしはピンクグレープフルーツみたいな空と言ったけど、彼女はセックス・オン・ザ・ビーチのようと表現した空は、すぐにブルームーンのような色になった。』─────で、は…

【宣伝広告】『…───人生は、一本の煙草に例えられる。最初に命の火が点り、その刹那に酔いしれる人がいる。不味いと知りながら、やめることができない人もいる。』─────で、はじまる…

【宣伝広告】『「人は誰でも三つの秘密があると言いさあ」「私はなにも やましい ことなど」「そう むき にならねえでくだせえ。物の例えでさあ」そう言って、亭主は二杯目のスコッチウィ…

【宣伝広告】『絶望であると同時に好機でもあった。そこでこっそり後をつけ、首を紐で絞めて殺した。彼女の話を翻訳すると、だいたい、そう言うことなんだと思う。』─────で、はじまる物…

【宣伝広告】『今が「どん底」だと、他人は言うけれど、「どん底」が、「点」だと思わないで。いつまでも続く、「線」であることも、あるんだから。』─────で、はじまる物語。◆イットな…

父親の葬式を終えたタクミは、実家の部屋で飲んでいた。 すると、部屋の片隅に女性の気配がする。 それは、タクミが生まれて２日後に死んだ母親の霊だったのである。 母親の霊は、息子にお…

タクミとケイコは、お互いに愛し合っている仲である。 しかし、そのお互いの夢を実現しようとすると、相手に犠牲を強いることになる。 ふたりは、お互いに、自分の夢を諦めることを決心する…

近未来、社会の秩序は乱れていた。 街でおこるケンカ、詐欺などが、頻発していたのである。 テレビで、その原因が、言葉の乱れにあると言語学者のコメンテーターが力説していた。 そんな…

和子は、７０才を過ぎたころから認知症を発症した夫、文一郎のいる老人施設の窓際に座っている。 窓の外には、桜の木の下で遊ぶ子供が可愛い。 そんな夫に、和子は話しかけるように独り言を…

或る日、タクミの頭のてっぺんに、チューリップが生えて来た。 それを心配する友人のケンジとマリコ。 話をしている間に、これは人間の進化なのではと、タクミは考えるようになった。 しか…

人生の深みを知った大人だからこそ、少し苦みの効いたスパイシーな物語を、食べたい時もある。 童話は、子供だけの物語じゃない。大人だから読む、そんな小さなストーリーを、召し上がれ。

　初恋をこじらせて、思春期をうまく乗り越える事が出来なかった僕は、夜に逃げ込む日々だった。 　ある冬の日に雪除けの傘を買うために立ち寄った傘屋で、その店主に出会った。

おとうさんが飲んでいる、いつも飲んでいる、おいしそうなコーヒー。 コーヒーに興味を抱き、その手を伸ばそうと奮闘する少年。「大人の飲み物」と聞かされたことで、より一層の好奇心に掻き…

両親の再婚により「きょうだい」となった蒼士と陽菜。仲のよい二人のことを見かねた周囲の勝手なお節介により、二人は別々の道へ…。 そんな別れの直前、星空の下で結んだ約束は叶うのか……

乱暴者の船乗りは世界中の海を渡っていた。 ある日港へ帰って来ると、女王にこの世界の美しいものを見つけて来て知らせるように命じられる。 そして船乗りは旅の終わりに、最も美しいものを…

すていぬだったわたしに、ニンゲンのかぞくができた。おとうさん、おかあさん、おじいちゃん、おばあちゃん、むすこ、そしてむすめ。 だけど、このかぞく、とってもへんてこかぞくなの。だっ…

　大学生の僕はボランティアで、まだ若いホームレスに出会った。 　彼は目が見えない。 　そんな彼がポツポツと、僕に語りだす。 　彼は言う。 「神様から恨みをはらす力を貰った…

孤独な少女の奈柚（なゆず）が嫌いなものは夕立。それは親に捨てられた日が夕立で、夕立を見ると辛いことを思い出すからだ。ある日、通学路で二匹の猫を拾う。一匹は普通の猫だが、もう一匹は…