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概要
あなたの頭の中のあたしが消えてしまった。もう、あたしは、存在しない。
和子は、70才を過ぎたころから認知症を発症した夫、文一郎のいる老人施設の窓際に座っている。
窓の外には、桜の木の下で遊ぶ子供が可愛い。
そんな夫に、和子は話しかけるように独り言をつぶやく。
和子には、ある疑惑があった。
夫が、40才ごろ、和子に内緒で女の人と浮気してたのではないかと言う疑惑だ。
でも、その当時は、それを確かめる勇気はなかった。
今はもう、いくら聞いても答えらえない状態なのだ。
それどころか、和子の顔も名前も、忘れている時間の方が長い。
ふと、和子は考える。
この人の頭の中には、あたしの記憶がない。
ということは、この人にとっては、あたしという人間は、存在しないのとイコールだと。
それも、夫が、和子の事を忘れた瞬間から、和子が存在しないのとイコールになったのではなく、
忘れた瞬
窓の外には、桜の木の下で遊ぶ子供が可愛い。
そんな夫に、和子は話しかけるように独り言をつぶやく。
和子には、ある疑惑があった。
夫が、40才ごろ、和子に内緒で女の人と浮気してたのではないかと言う疑惑だ。
でも、その当時は、それを確かめる勇気はなかった。
今はもう、いくら聞いても答えらえない状態なのだ。
それどころか、和子の顔も名前も、忘れている時間の方が長い。
ふと、和子は考える。
この人の頭の中には、あたしの記憶がない。
ということは、この人にとっては、あたしという人間は、存在しないのとイコールだと。
それも、夫が、和子の事を忘れた瞬間から、和子が存在しないのとイコールになったのではなく、
忘れた瞬
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