概要
いずれ閉塞感のある村での生活から抜け出し、隣町で高校生活を送ることを夢見ていた。
ある日、透は竜弥に追われて廃トンネルに逃げ込む。トンネルを抜けた先には鬼嶋鉱山の鉱毒汚染のために立ち入りが禁じられた深子神村の風景が広がっていた。家々には生活の跡があるが人の気配が無かった。
夜になり霧が立ちこめると過去の亡霊が獲物を求めて彷徨い始める。
村で起きた惨劇、そして鬼嶋家繁栄の秘密とは。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!その村は、セピア色と美しい青と、おぞましい血に彩られて、永遠に……。
昭和五十八年。もはや半世紀近い過去と成り果てた世界。
その初夏、少年たちは期せずして迷いこんだ。あの、さらに古めかしい、過去そのもののような荒れ果てた村へ。
悪夢のように歪んだ異形の村を形づくるものは、現実と地続きの人の欲望と狂気。
それを搔き立てるように、嘲笑うように、闇に輝くは、残酷なまでに、邪悪なほどに、美しき「神」。
ブラウザを閉じたとしても、この村は消えることはない。
心の闇そのもののように、その奥に輝く「神」を秘め隠すように、古ぶるしくおぞましいあの姿のまま、あなたの胸のなかに存在し続ける……。 - ★★★ Excellent!!!心にズシリとくる、読み応えがある作品です。
主人公・透は研究者の父の仕事の関係で、山深い村に移り住んだ。村で唯一できた親友・竜弥は、中学にあがると不良仲間とつるんで理不尽なイジメを始め、透は孤独に苛まれていた。そんなある日、透が入り込んだトンネルの向こう側には、地図に載らず誰も知ることのない村があった。そこは法律や正義の通用しない、暴力と死の恐怖に晒された鉱夫たちと、貴重な鉱石を手に入れるべく欲にかられた財閥の一族、そして彼らに取り入る者たちの醜悪な世界があった。
物語は最初から最後まで読みごたえがあります。怒りや悲しみを感じる鉱山の村でのおぞましい出来事、グロテスクかつ精緻な描写、そして人間の持つ欲の深さと慈悲の深さ……全て胸に迫…続きを読む - ★★★ Excellent!!!閉ざされた山間の、廃坑に隠されたもの。
衝撃の出だしで始まる本作は、作者渾身の
ホラー譚だ。以前【さいはて駅】という
廃坑のトンネルを境界とした彼岸と此岸の
あわいを舞台にしたノスタルジックな
ホラー作品があるが、本作は更にその
世界線 を広角そして俯瞰的に捉える。
主人公の少年は、閉鎖的な村での生活に
疲弊していた。嘗ての親友からの理不尽な
虐めや孤独感…。思春期の彼の思考は
何処か夢見がちでありながらも、研ぎ
澄まされて行く。
嘗ての親友の暴力に追われて逃げ込んだ
昏い廃トンネルの先に見たものは…。
閉ざされた村の暴虐と利権を巡る怨念。
そして今も尚、閉ざされたままの村。
霧の夜に彷徨う亡霊。炭鉱で湧いた山間の
村の悍…続きを読む