衝撃の出だしで始まる本作は、作者渾身の
ホラー譚だ。以前【さいはて駅】という
廃坑のトンネルを境界とした彼岸と此岸の
あわいを舞台にしたノスタルジックな
ホラー作品があるが、本作は更にその
世界線 を広角そして俯瞰的に捉える。
主人公の少年は、閉鎖的な村での生活に
疲弊していた。嘗ての親友からの理不尽な
虐めや孤独感…。思春期の彼の思考は
何処か夢見がちでありながらも、研ぎ
澄まされて行く。
嘗ての親友の暴力に追われて逃げ込んだ
昏い廃トンネルの先に見たものは…。
閉ざされた村の暴虐と利権を巡る怨念。
そして今も尚、閉ざされたままの村。
霧の夜に彷徨う亡霊。炭鉱で湧いた山間の
村の悍ましい記憶。人柱の齎した冨と呪。
少年達が大人になるには余りにも
過酷な通過儀礼。
果たして彼等は、この閉ざされた村から
そして悲劇の歴史の中で生き残れるのか。