概要
それとも──怪異か。
新人エンジニア・八重山海珠は、電子機器に潜む「声」を聞くことができる。
研修中に起きた事件によってマネージャーの江南創士にこの能力を見抜かれた彼女は、
社内でも存在しないことにされている部署、「怪異ソリューション事業部」へ招かれる。
呪いを生むコード、勝手に生成されるファイル、異界へ導くAPI、目的地とは異なる場所へ案内するナビアプリ。
ITの闇に潜む怪異を、技術とロジックとチャネリングで暴く。
ITに詳しくなくても読める、
怪異×テクノロジーのお仕事ミステリー。
[編纂者追記]
これは新人エンジニア・八重山海珠のOJT記録資料の前半に位置する資料群である。
番外編
『怪異ソリューション事業部 雑多資料』
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!現実と虚実の狭間にある怪異に立ち向かう英雄
常陸 花折さんの作品で初めて読ませていただいた作品です。
SQLやSlack、それ以外のげんざいのシステム開発に実際に使える技術・ツールを活用しながら、物語としては整合性を見事に捉えた作品で、これからSIに関わる人に見て欲しい一作です。
主要登場人物にそれぞれ事情があるようで、解明されていない部分も多々ありますが、それを含めて「怪異」なのかと思います。
技術用語があって馴染みがない方には「?」な部分はあるかも知れませんが、読んでいけば少しずつ理解できるのではと思います。
この先が気になるエンドカードですが、それを含めて読み応えがある作品でした。 - ★★★ Excellent!!!データの底で囁くもの
企業研修を舞台にしたホラー作品でありながら、全体を通してリアリティのある企業文化とドキュメント形式が巧みに融合されています。
「開発日誌」や「会議映像」「Slackログ」といった記録資料の体裁を取ることで、虚構ではなく実際に発生した“事件”を追っているような臨場感が生まれており、その構成が非常に秀逸です。
特筆すべきは、“SQLインジェクション”という技術的行為を怪異の媒介に変換した点。
情報工学的な要素を霊的現象へと接続する手腕が卓越しており、現代的なオカルトの再定義とも言える内容になっています。
登場人物それぞれの立場も的確で、特に江南の飄々とした態度と、八重山の怯えと好奇心が共存する…続きを読む - ★★★ Excellent!!!AIレビュー
「株式会社ストリテクノロジー 怪異ソリューション事業部」は、ドキュメント形式というユニークな手法で、読者を恐怖の渦に巻き込む革新的なホラー小説です。新人エンジニアの**「開発日誌」や「社内メール」、「機密文書」**などが連なり、まるで現実の企業のデータフォルダを覗き見ているかのような、極上の没入感を生み出しています。
その魅力は、リアルなIT企業の日常風景と、その裏側で淡々と処理される**「怪異」のギャップが生む戦慄です。システム用語に紛れて報告される異常事態は、論理的なデータの世界に侵食する、得体の知れない恐怖。一見ドライな文書の行間からにじみ出る、日本的な湿度の高い怪談と現代社会の空気…続きを読む