概要
人は誰でも誰にも言えない過去が一つぐらいは抱えている
人付き合いが病的なほど苦手で引っ込み思案な自分の性格を嫌悪している由香里。そんな彼女はアルコールが入ると人格が変わってしまうという酒癖を持っているが、酔っているときに暴漢にリンチされていたテツオという名の男を助けたことがきっかけで、その男と同棲生活を送った過去を持っていた。名字も職業も知らないテツオ。彼はある日突然姿をくらましてしまう。やがて、テツオのことは考えないようにしようと無理やり思い出にふたをして過ごしてきた由香里に一本の電話が入る。電話の相手はテツオのことで聞きたいことがあると言う。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!タイトルから想像できないミステリーな人間ドラマ。勇気をもらえます。
タイトルを見た時に、ペット物語かと思いました。予想は見事に裏切られます。良い方向に。
主人公の心情描写を主軸に物語は展開します。凄く丁寧で緻密に深掘りされます。
その時に、あえて句点を使わずに長々と文章を続ける箇所が何度も有って、「読み難いなぁ」と感じるのですが、それが作者の作戦。逆に、集中して読んでしまうのです。大半は記述作法に則って書かれていますから、明らかに作者の作戦です。
そう。文章に緩急が有るのです。
時間軸を行ったり来たりさせる展開もミステリーでは欠かせません。それでも読んでいて混乱しません。
そうやって読み進めると、最後には心が温かくなり、少し生きていく勇気をもらえます。
作者…続きを読む