世界は終わらなかった。だから、僕の嘘だけが残った。

「世界は終わります」
そう予告された午後、僕は彼女に告白した。
彼氏がいると知らずに。
……いや、知っていても、言っていただろう。
でも世界は——
終わらなかった。

青空が戻り、電車が動き、日常が続いた。
そして彼女は僕に言った。
「あれは……その、終末だったから。忘れていい？」
世界が壊れていれば、僕たちは永遠だった。
でも壊れなかったから、
僕の告白だけが、
嘘になった。

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世界の終わりを信じた人々が、
ほんの一瞬だけ、素直になれた時間。
それがなかったことになるとき——
残るのは、
本音と嘘の区別すらつかなくなった「その後」だけ。