スミダ エツコの買い物

シンプル・イズ・ベスト、これに尽きる作品だと思います。

正直なところ、モキュメンタリーって、大半面白く読めないんですよ、私。
普通に新聞やドキュメンタリーのほうが驚きがあって面白いよなあ、と。
でも本作は手放しで面白かったのです。
小説という虚構としての立ち位置が良いからだと思うんですけど。
こういうの、センスが良いっていうんだろうな。

ずっとニヤニヤしながら読みました。
読書をする喜びのひとつは作者の共犯者になれること。
それを実感できる作品です。

　ジロギンさんのモキュメンタリー作品にはこれまでも驚かされてきましたが、今作は特に衝撃的でしたね。

　我々読者は、スミダエツコという人物がフレッシュマート24というところで買い物をした際に出たレシートを読まされることになるんですけど、彼女が買ったものが不穏で不穏で……

　いったいこの人はなにをするつもりなんだろう、まさか……といろいろ想像してしまいます。
　
　次の日のレシート、その次の日のレシート……と読んでいくうちに、彼女の状況が変化しているのがわかって、この先、スミダエツコさんはどうなってしまうのか、とハラハラドキドキしながら読み進められました。

　謎が残っている部分もあるけど、…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（424文字）

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（130文字）

何かの拍子にひとのレシートを見てしまい、そのひとの生活を覗き見してしまったような気分になって、罪悪感と好奇心を覚えた方は多いと思います。
本作でも、7枚のレシートから、ある人物の生活（？？？）がありありと浮かび上がってきます。
1枚目のレシートから明らかに不穏なものが混じっているのですが、日が進むにつれ、さらにその不穏さが意外な方向に……。
斬新なアイデアが光る、恐怖とブラックユーモアたっぷりの、上質なホラーコメディです。
それにしても、何と品揃え豊富なコンビニなのでしょう！　ホームセンターならともかく……いえ、たとえホームセンターでも、○○や○○○○○○や○○○は売っていませんよ!?

　各話共通のフォーマットに沿った形で記載されています。
　そう。「語られている」のではなく、「記載されている」のです。

　スミダエツコが買った物を追うことで、浮かび上がる彼女の行動。
　きっと、猪突猛進な人だったのでしょう。
　何がしたかったかはストレートに読み解けるハズ。

　ええ、最初からおかしいのです。
　挙句の果てに、最後は――――

　あの。
　店のほうも……何かあります？

　こういう書き方の小説があるのか、と惚れ惚れとしました。

　スミダエツコなる人物の「買い物の記録」が提示されていきます。

　商品の組み合わせを見てみると、どうもノコギリやら防腐スプレーやら「何かを解体するための品」みたいなものが目立ちます。

　おやおや、なんの用途に使うのかな？

　ふと「何かの場面」が想像されて、読者はブラックな笑いを誘われます。
　その先も続くエツコの買い物。

　「おや、最初のだけでは足りなかったかな」、「おお、ついに次の段階に進んだか」と、レシートの内容からエツコの「進行状況」が想起されていきます。

　そんな中でワンポイント一緒に買われているサンドイッチやおに…続きを読む

あなたは他人の一週間分のレシートを続けてみたことはありますか？
意外にもそこからその人の生活スタイルや行動パターンが如実に現れるものです。

コレって何に使うやつ？　
そんなに買って何をしたの？

またもや斬新な構成で魅せてくれるモキュメンタリーホラー。読者の想像に委ねるスタイルで何通りものホラーが味わえる。
本作を読むと、他人のレシートを見るのが怖くなるかもしれませんよ。

モキュメンタリーホラー・ミステリー。

けっこう驚きました。
1周目読んだとき、レシートの内容に違和感持たなかった。
たぶん数字がずらずら並んだレシートに対して、ちゃんと頭が働かないんだ。

事件が起こった瞬間、レシート凝視する時の、脳の切り替わる感じがすごい！！　体験してください！
一瞬で読めるし、最後は「ああっ！！」ってなる。おすすめのホラーミステリーです。