概要
なにも起きない物語。でも一杯の酒が、誰かの心をほんの少しだけ軽くする。
北海道・恵庭市。静かな通りにひっそり佇む、アメリカンダイナー『R66【ルート・シックスティシックス】』。
流れるオールディーズと、マスターの静かな優しさ。
そして、その夜のあなたにぴったりの一杯がある。
夢破れた男。息子を見送った母。父との約束を思い出した青年――。
人生の節目にふと立ち寄る誰かの心を、
カウンターの右端の席で、そっとほどいてゆく。
“一杯の酒が、心のフィルターを外す。”
忘れたくない感情に、静かに寄り添う連作短編集。
あなたの夜にも、きっと届く物語がある。
流れるオールディーズと、マスターの静かな優しさ。
そして、その夜のあなたにぴったりの一杯がある。
夢破れた男。息子を見送った母。父との約束を思い出した青年――。
人生の節目にふと立ち寄る誰かの心を、
カウンターの右端の席で、そっとほどいてゆく。
“一杯の酒が、心のフィルターを外す。”
忘れたくない感情に、静かに寄り添う連作短編集。
あなたの夜にも、きっと届く物語がある。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!R66【ルート・シックスティシックス】、それは酒と大人が混ざり合う場所
良いですね、こういった落ち着いた雰囲気漂う、大人の隠れ家のような場所、そしてそれを想わせるしっとりとした文体。
作品の心地よさが実に染みわたります。
そして、人生の渋みが滲み出るマスターから提供される、その場に的確な珠玉の一杯。
数多くのお酒に精通していなければ提供できませんし、それをさっと出せる頭の回転の良さも試されます。
そして、更に添えられる、相手に寄り添った静かな言葉の数々。
マスターの人の良さと機転がキラリと光ります。
恥ずかしながら私はお酒には非常に疎い上に、繊細な味の違いがあまりわからない未熟者なので、こういうかっこいいお酒の知識を活用した作品に、憧れと嫉妬を抱いてしまいま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!何も起きない物語。それがBARというもの。
本作はキャッチコピーに「何も起きない物語」とある通り、BARに訪れた客と店主の対話を軸にした一話区切りのショートストーリー集である。
訪れる客の描写も、男、女、とだけあり、年齢も容姿も服装も、全て読者の想像に委ねるかたちとなっている。
そのため読み手によっては、地の文が素っ気なく感情移入しづらいように感じるかもしれない。
しかし本作はあくまでBARの店主目線で描かれており、彼は客の話を黙って聞き、頷き、そしてただ認める。
そこには感情移入や共感はなく、否定も肯定もせず、ただその人の人生をそのまま受け止める。
どこか遠くに感じる客との距離感こそがまさにBARそのものであり、相手の感情に…続きを読む