沈黙の臨界

病室の静けさを破る「ぷっ」という小さな音。誰もが抱える……あの「気まずい瞬間」を、温かな笑いで包み込むユーモアの妙……くすくすと笑いがこみ上げました！

作者さんの筆は、遊び心のヴェールを優しくかけて、「ぷっ」を通じて、人間の“尊さ“を照らしている……そんな“やさしさ“も感じました。

最終話の「屁でもない」が、無常の教えに溶け、執着を解く自由をくれる余韻には、胸がじんわり。

恥ずかしい一瞬さえ、人生の愛おしさに変えられる！そんなことを、感じる……とにかく“おもしろい“作品です。

やっぱり、この方には敵わないです。

この世界を書かせたら天下一品！

脱帽です。

何せ、最後は哲学と宗教の合一を見ることになりますから！

かつて、生粋の振り飛車党の棋士がオールラウンダーで振り飛車も指す棋士との対戦前に言ったことがあるんですわ。

「老舗の蒲焼き屋の鰻がコンビニの鰻に負ける訳にはいかないっしょ」と。
まさにそんな感じ。

やっぱり、専門職には敵わないっす。

屁をこいたって大丈夫
屁をこいた時は正直に言えばいいのさ
だから安心して屁をこけよみんな

こんなに文学的な、屁の話🤣
素敵です。

　放屁（もう一発変換できるようになりました）の第一人者、沈黙のおじさんさんの、放屁短編連作集です。てか、この方、三作全て放屁小説でございますw

　いやー、面白かったです。夢中で読んでしまいました。最後は「ブッ、ダ」で〆るとは、なんという荘厳かつ壮大な幕切れかと感心致しましたｗ
　ストーリーは、ヒロインの河合咲嬢が病気で入院した際、次々と「放屁が許されない沈黙の世界」（例えば、コンサートホール、野球場のヒーローインタビュー、お見合いの会食など）に転生してしまい、都度、プスーっとやらかしてしまい、犯人探しとともに、人生のピンチに陥る、というものです。

　毎度毎度「おならが禁忌」なシーンをしつ…続きを読む

四人が入る病室で繰り広げられる、沈黙と静寂を突き破る屁から始まる物語。

時に疑心暗鬼となり、時に死と転生を繰り返し、屁は四人に絡み付く。


読んだあなたは涙する。

それは爆笑なのか、寂寥なのか、それともむせ返る臭いによる嗚咽なのか。
それは誰にもわからない。

とにかく屁です。
これ以上私はレビューで語れません。

この作品は、沈黙が主題なのですから。

読むほどに深く没入することが出来ました。

途中で読むのを止めて作品から離れたのに、じわじわとまた読みたくなるクセになっている不思議。

屁……なんと奥深いのでしょう。

子供の時にケラケラ笑い、
恋人の前で羞恥のあまり真っ白になり、
夫婦になれば空気で微笑み合う……

同じ屁なのに、思えばこんなにシーンで受け止め方が変わるなんて。

長年この身と共にやってきたはずなのに、これを読むまで知らなかった、いや、分かっていたはずなのに見えていなかった。
……そんな、生理現象の新たな一面。

これまでに前例のない、どこか美しさすら感じられる文学と言える気がします。

読み終わったあとの満足感。
これ…続きを読む

子供のころ私の母がいきなり部屋に入ってきて何か物を探しながら頭の付近で空襲のような屁をこいた時は本当に笑いが止まらなかったものです。

今でも語り草ですが、このお話を見ていろいろと屁で笑いが生まれたなと思い出しました。

登場人物それぞれのキャラ性が立っていて、沈黙という場がもたらす効果がすごい。

読後は口もとが緩むこと間違いなしです。(笑)