概要
第2部「ミッシング・フラグ」完結済み。
医療情報システム課に異動した神谷蓮は、ログと日報に囲まれた“病院の裏側”で働き始める。
明るすぎる新人・篠田葵、静まり返る職場、そして1年半前に亡くなった主任。
日常業務のなかに、違和感が少しずつ積み重なっていく──
これは、電子カルテと監査ログが語る、医療事務の“非日常”の記録である。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!静かな病院の裏で、一つの信念が謎を暴く
主人公・神谷連が不審な医療事務データという小さな違和感から病院の暗部の迫っていくお話です。
病院独特の静けさや緊張感が醸し出され、少しずつ謎に迫り、真相が明かされていくたびに手に汗握る、最後まで気が抜けない本格ドラマでした。
堅苦しい空気ばかりでなく、クールな神谷と明るい相棒の篠田葵の軽快なやりとりはほっと笑えて、二人の絆がどんどん強まっていくところも魅力です。時々挟まる視点変更で垣間見える篠田葵の本音のギャップにぎゅっと心をつかまれてしまいます。
医療事務という分野に馴染みがなくとも、簡潔丁寧に説明せれており、するすると読むことができます。1話ずつが短いので、どんどん次々と読んでしまい、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!病院内に潜む“非日常”を描いた、本格的な医療ミステリ
医療情報システム課という舞台設定がまず新鮮で、電子カルテや監査ログといった専門的な題材が物語にしっかりと活かされているのが印象的です。
また、情報が小出しに提示される構成のおかげで、難解にならずテンポよく読み進められるのも魅力の一つ。
まるで自分も神谷や葵と一緒に病院の裏側を覗いているかのようなリアリティに引き込まれます。
専門知識に裏打ちされた世界観と、じわじわ積み重なっていく違和感が絶妙に組み合わさっていて、医療の現場を舞台にした作品として非常に読み応えがありました。
ミステリ好きにも、医療ドラマ好きにもおすすめしたい一作です。 - ★★★ Excellent!!!沈黙するカルテと、語るログ
これまでの医療ミステリーとは一線を画す、非常にユニークな切り口が魅力です。
まず特筆すべきは、主人公が“医療事務”という職種に就いている点でしょう。法医学医や救急医といった“いかにも”な専門家ではなく、日常の裏側で病院業務を支える立場からミステリーが展開していくのは非常に斬新で、唯一無二の視点だと感じました。
また、物語全体を支えるリアリティの強度も見逃せません。大学病院という複雑で巨大な組織を舞台に、カルテや監査ログ、薬剤の処方といった専門性の高い要素が具体的かつ丁寧に描かれています。特に、内部の権力構造や人間関係の閉鎖性が物語に重みを与えており、「実際に起こりうるのでは」という“現実…続きを読む - ★★★ Excellent!!!膨大なデータに潜んだ事件の痕跡を見つけ出せ!
大学病院の医療情報システム課に異動した神谷蓮。日々、電子カルテの不具合のチェックやシステムに関する資料準備などの業務に追われながら、同時に彼はある謎を追っていた。一年半前に突然亡くなった上司が、本当にただの病死だったのかを……。
病院が舞台となる作品はよくあるが、主人公が医師や看護師ではなく、システム担当というのがユニークな本作。亡くなった上司が遺したメモを頼りに、システム調査で見つかった病院外からの怪しいログイン履歴や、発注されたのにどこにも存在しない薬品の痕跡など一つ一つの怪しい線を辿って、事件の真相に辿りつくまでの過程がとても周到で、ただ謎を解くだけではなく、大学病院という閉じた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!緊張感と不穏な空気が漂う、医療系ミステリー
医療系ミステリーの中でも、システム課を舞台にしたものは読んだことがなかったので、とても斬新に思えました。
亡くなってしまった主任の残したデータ…主人公の神谷はそれをヒントに相棒である篠田葵と共に捜査を始めます。
証拠を押さえたと思ったら消されそうになり、謎のアカウントの動きがあったり、犯人との静かな攻防には常に緊張感があり、誰が味方で誰が敵なのか、ハラハラしながら読み進めました。
不穏な空気の中、葵の明るくお茶目な性格とそのデータ管理能力や追跡の徹底ぶりに救われることが多く、本当に物語に欠かせないキャラクターになっています。
神谷に淡い思いを寄せているところも、健気で可愛く、思わず応援し…続きを読む