概要
転生先は火遊び狂いの父親の娘――――!?
前世で死んだと思ったら、見知らぬ部屋で目覚めた娘、クラウディアン。前世の成熟した女性の記憶を持ちながら、彼女は別世界に住む幼い女の子として第二の人生を歩み直すことになる。
しかも彼女を養う『父親』と名乗る人物は、連日朝帰り上等の女殺しという、親として最悪極まりない超絶美麗な若者で――――
比類なき才能から『画聖』と謳われる若き天才画家と、見た目は子供・頭脳は成人女性な少女が織り上げる、父娘の日常ファンタジー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!五感で浸る、危うくも美しい父娘劇
『聖クラウディアンの肖像』は、とにかく描写の緻密さが圧巻です。
色や光、質感、空気感――まるで目の前で情景が立ち上がるような細やかさで、文字のひとつひとつが映像に変換されていく感覚を味わえます。
特に家具や衣服、食べ物、そして絵筆やパレット、絵具といった画材まで、“手触り”や“香り”が伝わるほどのリアルさ。
キャラクターの仕草や表情も生々しく、ドラロッシュの何気ない動作ひとつにまで色気と癖がにじみ、アン(クラウディアン)の視線の温度まで伝わってくるほどです。
そのリアルさが、穏やかな日常のやり取りにさえ、微妙な緊張感や駆け引きの気配を漂わせます。
父娘の軽口の裏に潜む支配や依存、愛情と…続きを読む - ★★★ Excellent!!!甘い毒に蕩かされる
最新話まで追いついたので書きます。
転生先は女誑しの天才画家を父に持つ娘。まだ15にもならない子どもです。
一見するとインパクト絶大、どんな父親だよと突っ込まずにいられない笑える展開が待ち受けているだろうと思うでしょう。実際に笑える展開が多いのは事実です。
しかし、本質は別のところにあります。主に2つ。明暗で例えるのなら、明に当たるのが画の描写です。
文章で表現されているはずなのに、目の前にその画が存在しているように感じられます。それだけでなく、細かい技法なども丁寧に描写されており、気迫に圧倒されます。
そして、暗に当たるところが向けられる強すぎる愛情。
最初こそ溺愛ぶりを笑って読…続きを読む - ★★★ Excellent!!!鮮やかに描かれる、画家と娘の日々。
前世にて、二十代の若さで世を去った「私」は、若き天才画家の娘に転生していた。
その画家の名はドラロッシュ、娘である「私」はクラウディアン。『アン』と呼ばれている。
ドラロッシュはとてつもない過保護で、外は危険だからと外出する機会を与えてくれないほど。
その反面、当の本人は、画家の仕事に乗じてモデルやパトロンの家に愛人を作っては捨てるという、生粋の遊び人気質。
そんなドラロッシュを最低だと冷めた目で眺めながら、「私」はこの狭くて美しい世界の中で、色々な思いを抱いていく……。
本作を拝読して、このヨーロッパ風の世界を存分に体感させてくれる描写の凄さには圧倒されました!
ドラロッシュとアンの住…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛が交錯する絵画のように美しい物語・・・
この作品は、まるで美しいものをぎゅっと集めたような作品です。
主人公のアンは前世の記憶を持つ少女。文章は映像的で、描かれる情景が全て目に映されるようです。
物語は、主人公のアンが別世界で子どもとして新たな人生を歩み始めるところから始まります。彼女の育ての親であるドラロッシュは、若くして名を馳せる天才画家であり、同時に女たらし(?)として悪名高い存在。そんな彼が我が娘にうっとおしい程の愛を注ぎます・・・。
自分がこの作中で驚いたのは何といっても、絵画が数多く登場するところ。その内容を非常に緻密に描写しきっているのです! それはまるで美術館を巡っているかのよう。
今は、愛される喜びと、…続きを読む