父の妄執と娘の揺らぎ
- ★★★ Excellent!!!
男というのは移り気な生き物でありまして、結婚したところでそれは変わらないのかもしれません。ですが、娘が産まれてそこで初めて女性からの無償の愛というものを感じるわけです。
というより、娘ではなく恋人や妻だとその愛が打算なのか無償なのか客観的に確定できないというべきでしょうか。
主人公は、幼い娘であり一人の成人した女性でもあるので、庇護を受ける父親への無条件の信頼と、他の女性よりも自分が選ばれたという独占欲を同時に感じており、それがドラロッシュへの想いを処理しきれないまま感情の揺れになっている。というのが本作の不安定な美しさを生み出しているのではないでしょうか。
ちなみに、絵画の描写が詳細で美しいため、聖クラウディアンの肖像シリーズの描写(9章など)をchatgptにコピペして油彩で出力してもらってこっそり楽しんでいるのはここだけの秘密です