愛が交錯する絵画のように美しい物語・・・

この作品は、まるで美しいものをぎゅっと集めたような作品です。
 主人公のアンは前世の記憶を持つ少女。文章は映像的で、描かれる情景が全て目に映されるようです。
 物語は、主人公のアンが別世界で子どもとして新たな人生を歩み始めるところから始まります。彼女の育ての親であるドラロッシュは、若くして名を馳せる天才画家であり、同時に女たらし(?)として悪名高い存在。そんな彼が我が娘にうっとおしい程の愛を注ぎます・・・。
 自分がこの作中で驚いたのは何といっても、絵画が数多く登場するところ。その内容を非常に緻密に描写しきっているのです! それはまるで美術館を巡っているかのよう。

 今は、愛される喜びと、檻に閉じ込められたような孤独感、そして優しさの裏に潜む違和感を感じているようですが、今後どうなるか追ってみたいと思います。
 これは、生まれ変わった少女が過去と現在の狭間で生き直しを図る、切なくも美しい再生の物語です。

その他のおすすめレビュー

島村 翔さんの他のおすすめレビュー191