とても強い思いがあるからこそ
あの人の真相を知りたい
思いの先に待ち受ける真実とはなにか
大事な人のために自身を犠牲にする二人の優しい思いが切ないです
そして自らの存在の事実と託された願い
涙がにじむほどに、託されて受け継いだ思いが輝いてます
強い思いは決して脇役なんかじゃない
思い出の友人たち、そして父と母の願い
人生の主役は自分自身であり
人の思いを支えるときは名脇役となる
そんな関係性が切なくも希望に満ちて尊い
みんなのかけがえのない想いがあふれてます
思いと願いに紡がれる過去と未来
そして涙があふれる真実の物語を見届けてください
本作が描くのは、国澤英一と原見節子、ふたりの物語です。
彼らは、亡くなった後輩である櫻井俊健の死の真相を明らかにしたいと願い、時間を遡る〝跳躍〟を行おうとします。
そのために訪ねたのが、中学時代の同級生である朝比奈でした。
朝比奈は、時行監理局と呼ばれる時間跳躍に関わる事柄を管轄し、実施する機関の職員。
それも跳躍を、担当しているのです。
彼の職場に、かつての同級生であるふたりが訪れ、そして物語は始まります。
本作の世界では、時間を移動できるのは身体ではなく「意識」のみです。
意識と、それに付随する記憶だけが、特定の時間を生きる誰かに宿ります。
未来を変えることはできません。
過去を伝えることもできません。
過去の出来事を改変することのすべてが禁じられており、違反すれば重い罪に問われます。
つまり時間跳躍とは、
心残りや後悔、慈しみ、疑念、忘れ去られた事柄、隠されていた真実────
それらを見聞きし、感じ、胸に留めるための旅なのです。
それでもなお、真実が時とともに消えてしまうことを許せなかったふたりは、過去へと向かうのです。
人は二つの時間を生きています。
世界の時間と、自分自身の時間です。
太古から未来へと続く広大な世界の時間の中に、ほんの瞬きのように存在する自分の時間。
それが人間の生です。
夜空に瞬く星のように、確かにそこに在りながら、その時間はあまりにも短い。
時は遡れず、早まることもなく、引き延ばすこともできません。
だからこそ、人は心残りを抱えるのでしょう。
物語の中で、国澤英一と原見節子のふたりが成したこと、そして支払った代償。
そのすべてを知ったとき、読者はこの物語の本当の姿に触れることになります。
来し方も知らず、行く末さえわからない。
それでも、自分にできること、やるべきことを懸命に為す。
本作は、そんな人間の在り方を静かに問いかけてきます。
読み終えた後、誰かにその想いを伝えたくなる。
そんな優しい気持ちに触れられる作品でした。
心からおすすめします。
中学時代の同級生の男女二人が十数年ぶりに主人公の前に現れる。
彼らが持ち込んだ案件は「タイムリープ」。
主人公の属する時行監理局では、精神だけを過去の人物に送るという手法が可能。
男女二人は、中学生時代に医療事故でなくなった少年の体に精神を移すという依頼を主人公に出すが、その目的は――。
登場人物の複雑な背景や心情の変化、緊張する展開など読みどころがたくさんあって、とても一万字以下とはとても思えない。
タイムリープものは複雑な設定になりがちだが、この作品は一本の筋がきちんと通っているため、スルスルと一気に読んでしまうこと間違いなし!
オススメです。
ある二人の男女が、旧友の死の真相を確かめるため、タイムリープする――こう言うと、彼らが主人公の物語のように思われるかもしれませんが、本作は時行監理局というタイムリープを司る機関で働いている、彼らのもう一人の旧友が主人公となる物語です。
様々な制限がありながらも、タイムリープという概念が身近になっている世界。二人の男女が、主人公にタイムリープ申請に訪れるところから物語は始まります。真実を追求するために危険をかえりみずに行動する、まさに物語における主人公のような二人で、それはどこか執念めいたものを感じさせるほどでもありました。
旧友の死の真相とは? そして物語の終盤では、さらに隠された事実が明らかになります。なぜ本来脇役に相応しい立場の彼が、この物語において主人公に据えられたのか、全てが頭の中でつながり、しんみりしてしまいました。
タイムリープという定番の設定を斬新に扱った良作です。おすすめします!
自分の意識を過去の誰かに移す「タイムリープ」が可能になった世界。
時行管理局に勤める朝比奈のもとに、かつてのクラスメートである国澤と原見が訪れる。
二人は櫻井俊健という少年の死の理由を知るため、タイムリープしたいのだという。
果たして、少年の死の真相とは?
タイムリープによって明らかになる真相もさることながら、その後明かされる事実がまた衝撃的な本作。
だが、この作品は衝撃だけでは終わらない。
大切な人を助けるために、人はどれだけのことができるだろうか。
それが、命を救えるものではないとしても、できることだろうか。
人間は、覚悟を持って行動することができる。
その強さ、尊さが表れているのがこの作品だ。
衝撃と感動のミステリー、お楽しみください。